日本酒には「熟酒」「醇酒」「薫酒」「爽酒」の4つのタイプに分けられますが、このタイプ分けは日本酒の香りや味わいを分かりやすくカテゴリー分けしたもののため、大吟醸酒なのに薫酒ではなく、爽酒に属しているなど細やかな分類分けにはなっておりません。
そこで、日本酒のことをより知って頂くため、日本酒の分類「本醸造系」をご紹介したいと思います。
日本酒の分類「本醸造酒系」とは?
日本酒は、酒税法によって「特定名称酒」と「普通酒」に分けられます。
普通酒とは、原材料にお米・米麹・醸造アルコールを使用しており、本醸造系や純米酒系と比べて、アルコールの使用量が多く、精米歩合が高いのが特徴です。
特定名称酒とは、麹米の使用割合が15%以上であり、なおかつ農産物検査法によって3等以上と認定された、もしくは、3等以上相当の高品質なお米を使用して醸造された日本酒のみが名乗ることを許される特別なものです。
特定名称酒には、大きく分けて3つのカテゴリーが用意されており、以下のようになっております。
・お米と米麹のみを原材料とする「純米酒系」 |
・お米と米麹、そして規定量内の醸造アルコールを原材料とする「本醸造酒系」 |
・お米を磨き上げ、長期間低温発酵させて造られる「吟醸酒系」 |
さらに、原材料や精米歩合、醸造製法などによって、以下の8つに分けられます。
・純米大吟醸酒
・純米吟醸酒
・特別純米酒
・純米酒
・大吟醸酒
・吟醸酒
・特別本醸造酒
・本醸造酒
2つだったのが、3つになり、さらに8つにまで分類分けされたため、日本酒初心者の方は頭の中がこんがらがってしまったかもしれませんね。
ですが、一見見た限りでは難しく感じるかもしれませんが、実はとってもシンプルなのです。
実は、8つに分類された特別名称酒は、前述した3つのカテゴリーにそれぞれ当てはめると、純米酒系に属しているのが「純米酒」と表記されているものであり、本醸造酒系に属しているものはラベルに醸造用のアルコールが表記されている大吟醸酒・吟醸酒・特別本醸造酒・本醸造酒の4つとなります。
そして、吟醸酒系に属する日本酒は、「吟醸造り」と呼ばれる製法で醸造され、吟醸香が薫る優雅で高級感漂う純米大吟醸酒・純米吟醸酒・大吟醸・吟醸酒の4つとなります。
今回ご紹介する日本酒の分類「本醸造酒系」とは、醸造用のアルコールを添加した日本酒のことであり、精米歩合によって名称が変化します。
では、本醸造系に属する日本酒を分かりやすくご説明致します。
大吟醸酒
精米歩合:50%以下
使用原料:お米・米麹・醸造用のアルコール
醸造用アルコール添加量:10%以下
麹米使用割合:15%以上
特徴:吟醸造りで醸されるため、独特の吟醸香を有しています。優れた色沢を持ちます。
吟醸酒
精米歩合:60%以下
使用原料:お米・米麹・醸造用のアルコール
醸造用アルコール添加量:10%以下
麹米使用割合15%以上
特徴:吟醸造りで醸されるため、独特の吟醸香を有しています。色沢はあるが大吟醸には劣ります。
特別本醸造酒
精米歩合:60%以下
使用原料:お米。米麹・醸造用のアルコール
米麹使用割合:15%以上
特徴:特別本醸造酒は、「特別」な醸造方法または工夫が施されているお酒のことを指します。香りも味わいも良好です。
本醸造酒
精米歩合:70%以下
使用原料:お米・米麹・醸造用のアルコール
米麹使用割合:15%以上
醸造アルコール添加量:10%以下
特徴:香りも味わいも良好です。
本醸造酒系に含まれている大吟醸酒及び吟醸酒は、特定名称酒「吟醸酒系」に属しており、特別本醸造酒ならびに本醸造酒は生粋の「本醸造酒系」となりますので、覚えておくと良いでしょう。
今回は日本酒の分類「本醸造酒系」を解説させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。
やや複雑なため、分かりにくいかもしれませんね。
本醸造酒系の最大の特徴は、醸造用アルコールが添加されていることですので、ラベルに「醸造用アルコール」と表記されているならば、それは本醸造酒系ということになります。
是非、日本酒を購入する際の1つのポイントとして覚えておくと良いでしょう。