日本酒のテイスティングで使用する利き猪口とは

お酒のテイスティングを生業としている利き酒師や酒匠の方々が愛用している蛇の目きき猪口は私たちが普段お酒を飲む際に使用しているお猪口とちょっぴり違うことはご存知ですか。

プロの利き酒師や酒匠の方々が使用している蛇の目の利き猪口は、底面部分に紺色の同心円が2つ描かれている白色の陶器製のお猪口なのですが、実は蛇の目の部分に凹凸があり、同心円の色彩も若干濃くなっています。
また、お猪口の厚みも薄くなっており、プロ仕様となっています。

なぜ、プロの方々が使用する利き猪口が一般的なデザインと異なるのでしょうか。

利き酒師や酒匠が使用しているきき猪口の特徴とは?

プロの方々が使用する利き猪口が一般的なデザインと異なる理由、
それは日本酒の酒質を見極めるためです。

プロの利き酒師や酒匠の方々は、蛇の目の利き猪口を用いて日本酒の色調を確認します。
そのため、白磁の部分で着色度合を観察し、蛇の目と呼ばれる紺色の同心円部分で清澄度合をチェックします。

日本酒が濁っていると蛇の目部分がはっきり見えず、清澄度合が低いと判断されてしまい悪い評価が付きます。
そのため、プロの方々が使用する蛇の目の利き猪口は、本利き猪口と呼ばれ、焼いた後に1個ずつ丁寧に手書きを行い、表面部分に凹凸を生じさせるのです。
「凹凸があるとテイスティングが行いにくいのでは?」と思われるかもしれませんが、同心円の凹凸は日本酒を注ぐことで全く気にならず、むしろ紺色の線がくっきり見えるようになるので正しいテイスティングを行うことができるようになります。

ちなみに、青い同心円がくっきり見える日本酒ほど質が良いとされ、利き酒師や酒匠の方々の間では「青冴え」すると表現されます。

プロの方々が使用する利き猪口ですが、私たちが使用しているものよりも口に触れる部分が薄く作られています。なぜ、酒器が薄く作られているのでしょうか。

厚みのある酒器でお酒を飲むと唇に触れた後、舌先ではなく、舌の中央付近にお酒が当たるため正しいテイスティングを行うことができません。
日本酒のテイスティングは、舌先⇒舌の縁⇒舌根の順で味わってゆくのが基本となります。
しかし、厚みのある酒器では舌先よりも他の部分にお酒が当たるため正しい判断が出来なくなってしまいます。
そのため、プロの方々が使用している酒器はお酒を飲んだ際、必ず唇と舌先に1番初めに触れるように酒器が薄く作られているのです。

日本酒のテイスティングをする際は、蛇の目であること・同心円に凹凸があること・酒器に厚みがないことを確認して行うと素人の方でも正しいテイスティングを行うことができるようになりますので、覚えておくと良いでしょう。

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