日本酒テイスティングの訓練方法

日本酒のテイスティングは、視覚・嗅覚・味覚・聴覚・触覚の五感のうち視覚・嗅覚・味覚の3つを使って行います。

プロの利き酒師や酒匠の方々のテイスティング方法は減点方式と呼ばれる方法で行われており、日本酒を楽しみながらチェックして行くものではありません。
ですが、お酒好きが転じてプロの利き酒師や酒匠を目指したいという方もいらっしゃるかと思います。

そこで、今回は利き酒師や酒匠を目指す方のテイスティング訓練方法をご紹介したいと思います。

利き酒師や酒匠のテイスティング方法とは?

以前日本酒のテイスティングの基本についてご説明させて頂きましたが、実は利き酒師や酒匠の方々も基本のテイスティング方法を基にお仕事をしていらっしゃいます。
ですが、プロの方々は減点方式でチェックされておりますので、そのあたりがアマチュアとの違いではないでしょうか。

では、利き酒師や酒匠の方々のテイスティング方法をご紹介します。

プロの方々が行うテイスティング方法

●事前準備:日本酒をあらかじめ15度から20度に温めておきます。

日本酒の色を確認するために透明なグラスと蛇の目の利き猪口を用意します。
日本酒を酒器へ注ぎ、黄色味の強さを確認します。
日本酒を酒器へ注いだ際に感じる香りを「上立ち香」と言い、ほとんどの日本酒から心地良く軽やかな香りが感じられます。ですが、稀に不自然に強烈な香りを放つお酒もございます。そういった日本酒はおそらく、人工的に着香されている可能性がありますので覚えておきましょう。
お酒を口へ含み、その状態で口から軽く息を吸い、ストローを使っているかのように舌の上でお酒を転がします。このとき日本酒から感じられる香りを「基調香」と言い、日本酒本来の香りと言われています。
プロの利き酒師や酒匠の方々はこの瞬間に口のお酒を吐き出してしまいますが、プロ志願者でない場合は飲み込んでしまっても問題ありません。
お酒を飲み込んだ後に口から鼻にかけてスーッと抜けてゆく香りを「口中香」と呼びます。
この上立ち香・基調香・口中香(含み香)の印象がほぼ一緒である場合、その日本酒は香りのバランスが良いと評価されます。
日本酒の味わいを確かめる際は、必ず3mlから6mlの量をすするように口に含むようにしましょう。匂いを確かめたときと同じ要領で行うのがポイントです。
舌全体で日本酒の味わいを確認して行くのですが、お酒を口にふくんだら、舌の上で転がすようにします。そして、味覚を感じるポイントは舌先が甘み・舌の縁が酸味と辛味・舌根は苦みと渋みになっておりますので、味を表現する際はこの順番で表現して行くようにしましょう。
先ほどもご説明させて頂きましたが、プロの利き酒師や酒匠の方々は酔わないために、風味を確認後、すぐにお酒を吐き出してしまいます。ですが、5種類から10種類のお酒のテイスティングを行う場合は、そのままお酒を飲み込み、後味や喉越しをしっかり確認しておくことをオススメします。

日本酒のテイスティングは、その酒蔵の代表的な銘柄を基準とし、五感のうち視覚・嗅覚・味覚を駆使して強弱を感じ取らなければなりません。
特に嗅覚や味覚は人によって感じ方が異なるため、好き嫌いで判断するのではなく、「一口目は酸味が強く感じられるが、後から辛味がやってくる」など味わいの相互性をもって整理してゆくようにしましょう。
また、日本酒だけではなく、全ての飲食物に言えますが、味を表現する際は先入観を捨て去り、公平な気持ちで臨み、難しい言葉ではなく、前向きな表現で簡潔かつ分かりやすい言葉でまとめるようにするのがポイントです。

テイスティング技術を向上するための訓練方法とは?

日本酒のテイスティング技術を向上するために訓練をしたいというか方もいらっしゃるかと思います。
日本酒は、視覚・嗅覚・味覚を駆使して分かりやすい言葉で香りや味わいを表現する必要があるため、正確な日本酒の風味を表現するためには利き酒師や酒匠といった専門家でない限りは、なかなかできません。
また、五感のうち、嗅覚と味覚は人によって大きな差がありますので、この差をどのように埋めるのかがポイントになります。

テイスティング技術を向上させるためには、嗅覚と味覚を訓練することで正確性がググッとアップします。
例えば、味覚の場合、舌粘膜の各種にある乳頭内にある卵のかたちをした味蕾(みらい)と呼ばれる小体によって、甘味・酸味・辛味・渋味・苦味の5つを感じ取っています。
味蕾は感覚細胞から成っており、同じ味と何度も出会うことで、その味に詳しくなってゆく性質を持っています。これを学習効果と呼んでおり、プロの利き酒師や酒匠の方々は常にこの訓練を行い、味蕾の学習効果を向上しているのです。

また、プロの利き酒師や酒匠は五感を鍛えるだけではなく、他にもこのような訓練を行っています。

プロの利き酒師や酒匠の方々が欠かさず行っている訓練ポイント

●利き酒用語を覚える。
●利き酒結果の記録を作成する。
●頭の中で酒質に関する尺度の作成を行う。
●心身ともに集中した状態で利き酒を行う。

では、利き酒師や酒匠の方々が日本酒の良し悪しを判別する際に用いている利き酒用語を少しご紹介させて頂きます。

良い評価 悪い評価
色艶に関する表現 異常着色・濁り
香りに関する表現 新酒香・吟醸香・熟成香・樽香 老香・生老香・ジアセチル臭・紙臭・濾過癖・酢エチ臭・カビ臭・酸臭など
鯵に関する表現 淡麗・軽い・なめらか・キレが良い・旨味がある・濃醇など うすい・酸うく・雑味・渋味・苦味など

他にも利き酒用語はありますが、このように日本酒の色調・香り・味わいを評価して行き、酒質の特徴や短所と長所をまとめ、1つ1つチェックして行くのです。

今回は日本酒のテイスティングの訓練方法についてご紹介させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。
プロの利き酒師や酒匠の方々も正確な判断を行うために欠かさずテイスティング能力を向上させる訓練を行っています。
これから日本酒の世界へ飛び込もうとお考えの方は、テイスティングの正しい方法や訓練を欠かさず行うことで能力をアップさせてゆきましょう。

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