お花見の歴史|室町時代から江戸時代

日本では、1951年から関東地方を中心に気象庁によるソメイヨシノの開花予想が始まり、お花見の開催にオススメ予定日を発表していたのですが、2009年以降からウェザーニューズ・ウェザーマップ・日本気象庁教会の民間企業3社によって日本全国の独自開花予想をインターネットやテレビ、雑誌などで公表するようになり、気象庁は開花予想の発表を民間企業に譲り、今までは職員の目によって5輪から6輪ほど桜が咲いたら開花宣言が行われていたのですが、現在では対象となる桜の木に1輪以上の花が咲いたら開花宣言が出されるようになっています。

また、最近では観測対象となる桜の木全体の開花度合によって、三分咲き・五分咲き・七分咲きなど詳細な情報を提供するようになっており、8割ほど開花すると見頃や満開であると発表されるようになっています。

ここまで桜の開花に関する詳細な開花状況の報道は世界に類はなく、日本人がどれほど桜を愛しているのかをうかがうことができます。

さて、多くの日本人から愛されている桜ですが、現在のようなお花見が開催されるようになったのはいつ頃からなのでしょうか。
今回は室町時代から江戸時代に催されていたお花見の歴史をご紹介したいと思います。

室町時代の桜とお花見の歴史

平安時代が終わり、鎌倉・室町時代に突入すると、貴族たちの間で行われていたお花見文化が武士へと広がってゆきます。
鎌倉時代末期の歌人として有名な吉田兼好は随筆「徒然草」の第137段にて、身分の高い人たちのお花見と片田舎に住む人たちのお花見の違いを説いています。

室町時代の初めには、地方に住む武士の間でもお花見が催されるようになり、安土桃山時代(織豊時代)になると、京都にある醍醐寺にて豊臣秀吉が秀頼や北政所、淀殿ら近親者をはじめ、諸大名やその配下の方々を招いて盛大なお花見を催したのです。
これを「醍醐の花見」と言い、日本人が桜=花見というイメージを持っているのは、豊臣秀吉によるものではないかと考えられています。

また、豊臣秀吉と桜に関する逸話は数多く残っており、1594年に行われた「吉野の花見」では、およそ5000人の人々を引き連れ、大名たちにコスプレをさせて、参加者たちを楽しませたと言われており、さらに、吉水神社を本陣として催されたお花見を企画した際は前年度におよそ1000本の桜を植樹したとも言われています。

豊臣秀吉は、自身がお花見を開催する土地に桜を植え、大切に育てていたそうです。
農民出身でることを生涯忘れず、誰よりも桜を愛していた豊臣秀吉らしい桜の愛で方ですね。

江戸時代の桜とお花見の歴史

桜=お花見の基盤を作った豊臣秀吉ですが、この頃のお花見は身分の高い方々の間で行われる酒宴だったため、庶民の間ではお花見文化は定着していませんでした。

一般市民がお花見を楽しめるようになったのは、江戸時代からです。

徳川幕府三代将軍の徳川家光は、徳川家の菩提寺となる寛永寺を建設したのち、その境内や上野の山に古来より桜の名所として有名な吉野から桜を持ち帰り、植樹したそうです。
しかし、桜の下でどんちゃん騒ぎや無礼講を行う方々が増えたため、夜桜の宴や庶民によるお花見を禁止するなどの政策を行っていました。

その後、お花見によるどんちゃん騒ぎや無礼講などのマナー違反を解決したのが徳川幕府八代将軍の徳川吉宗です。
彼は東京都市街地東部を流れる隅田川や桜の名所として有名な東京都北区王子にある飛鳥山に大々的な桜の植樹を行い、庶民の憩いの場として提供したのです。そして、物事の節目の時期に行楽を愉しむことを奨励し、現在の東京都のお花見名所の基盤を作ったと言われています。
さらに、吉宗は農村に住む人々のために桜の植樹を積極的に行い、大勢の人々が農村へ足を運ぶように工夫し、桜を使った細工の販売による収入などで農村部の方々の暮らしを安定させていきます。

吉宗は桜を江戸の各地に植えることで、水流を改善し、河川の氾濫を防ぎ、運輸や灌漑(かんがい)を図ったり、区画整備のための埋め立てを行うための政策であり、やたらめったら桜を植え続けていたわけではないということが現代の研究によって明らかにされました。

今回はお花見の歴史「室町時代から江戸時代」にかけてご説明させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。
安土桃山時代までは身分の高い方々の間で行われていたお花見が江戸時代になり、庶民も楽しめるようにと歴代の将軍によって政策が行われ、大勢の人々が桜の下で酒宴を楽しめるようになりました。
お花見の歴史を知ることで、桜の偉大さや大切さが分かり、お花見に対する心持も変わってくるかと思います。
これからお花見を催す方は、マナーを守って楽しい時間を過ごすように心掛けましょう。

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