「何となく 今年はよい事あるごとし 元日の朝 晴れて風なし」という歌をご存知ですか。
この歌は石川啄木の個人歌集「悲しき玩具」に掲載されており、「今日は風も無く快晴だ。今年は良いことがあるだろう」という意味が込められています。
日本では、古くから1月のお正月と7月のお盆の時期には、必ず作物が収穫できたことに感謝し、豊作を願い、ご先祖様を敬う儀式が行われてきました。
特に元日は、全てが新しく生まれ変わる日でもあるので、改めて神々に手を合わせ、縁を結び、1年間の多福を祈るための神聖な日と言われています。
日本の伝統文化、お正月に込められた先人の思い
お正月の「正」という文字には、漢数字の「一」と制止の「止」から成り立っており、「一」には、ものの初めや天を表す意味があり、天の道は人の道でもあることから、人の道に叶う穢れの無い美しい生き方をしようという先人たちの思いが詰まっています。
また、神々をお迎えするお正月には、人の道を踏み外さないよう、どっしりと構え、落ち着いて言動を行うための軌道修正を行う時期でもあり、「一」と「止」を組み合わせた「正」の文字が使用されて「お正月」という言葉が誕生しました。
お正月とは、衆生の心身を煩わせる煩悩による穢れを除夜の優しい鐘の音によって祓い、新たな年を心身ともに清らかな状態になってお迎えする日です。
現在、人間は誕生日を迎えたら1つ年を重ねる「満年齢制」が用いられておりますが、昔は年神様と呼ばれる「新年の神様」を自宅にお招きし、その年1年分のエネルギーを頂戴し、元気を取り戻すと1つ歳を取ると言われてきました。
お正月の行事は、日本が農耕社会の頃に誕生した風習であり、先人たちが大切にしてきた年の初めの儀式です。よく、ヒトは百八、八万四千の煩悩を持っていると言われています。昔の人々も煩悩に散々苦労し、悩んできたのでしょう。
お正月とは、過去の出来事を全てリセットし、新たな人生をスタートさせるきっかけを与えてくれる素晴らしい日本伝統行の1つです。
是非、この機会にお正月がどのようなものなのかを改めて学び、今年のお正月を清新な気持ちで迎えてみてはいかがでしょうか。