お正月にオススメ金箔入り清酒

厳冬期になると「日本酒をつける」という言葉を耳にするようになります。
日本酒をつけるとは、燗酒にするという意味で、日本最古の歌集で知られる万葉集の巻五に収められている「貧窮問答歌」にも登場するほど古くから愛飲されている飲み方です。

貧窮問答歌にて、山上憶良は「…すべもなく 寒くしあれば 堅塩を取りつづしろひ 糟湯酒 うちすすろいて…」と詠んでいます。
この歌から、既に7世紀には庶民たちの間で酒粕をお湯で溶かして暖を取っていたということが分かります。

また、平安時代に記された「延喜式」には、「暖酒料炭一斛」という記述がされており、日本酒を温めていたことがうかがえます。さらに、延喜式には「度熬堝(どこうか)」という文字も記されており、直燗(じかかん)専用の鍋のことを指しているのではないかと言われています。

他にも「白氏文集」や「温古目録」、「山養雑記」などの書物にも燗酒を思わせる記述が残っており、旧暦の9月9日の重陽(菊の節句)から翌年の3月3日の桃の節句(上巳)の冬の時期によく飲まれていたそうです。

古くから日本人に愛されてきた燗酒には、日向燗・人肌燗・ぬる燗・上燗・熱燗・飛び切り燗と6種類の呼び名があり、日本酒の温度が5℃上昇する毎に香りや味わいが大きくなることからこのように呼ばれるようになりました。

そこで、今回は燗酒初心者の方でも安心して作れる日本酒のつけ方をご紹介したいと思います。

初心者の方必見!日本酒のつけ方&作り方!

まず、はじめて日本酒をつけるという方のために、作り方のコツをご紹介します。

1.日本酒をつけるならば、旨味を引き出すために「湯煎」で行うべし!

昔は現代のように電子レンジやお燗グッズなどが無かったため、お湯の温度を維持した状態で日本酒を注いだ酒器を浸けていました。

とっても手間暇がかかるため、現在では電子レンジやお燗グッズを活用される方も多いと思いますが、実は日本酒は湯煎にかけた方が、より一層おいしさが増すため、日本酒通の方々が燗酒を作る際は必ず湯煎を用いります。

その理由は、日本酒のアルコールが揮発する温度よりも低い状態で燗をつけることができるため、日本酒独特の香りが抜けることが無いからです。また、酒器自体も温かくなるため、その熱によって内部の日本酒も温まり、過加熱を起こして辛すぎるお酒にならずに済むのです。

2.電子レンジを使う場合は必ずアルミホイルを用意するべし!

お燗にする際、必ず必要になるのが徳利です。
徳利はひょうたんのように細い部分と太い部分があるため、温めると中に注がれた日本酒の温度に差が生じてしまう可能性があります。特に細い部分は太い部分よりも熱くなりやすいため、気を付けなければなりません。
このような温度の差を作らないためには、アルミホイルの出番です!
アルミホイルをシワが出来ないように円筒状にし、徳利へスッポリ被せます。
こうすることで、電子レンジで燗酒を作っても温度ムラが生じること無く温めることができます。

では、以上のことを踏まえ、おいしい燗酒の作り方をご紹介してゆきたいと思います。

【日本酒のおいしいつけ方~湯煎編~】

①徳利に日本酒を9分目まで注ぎます。
②徳利の注ぎ口にラップで封をし、日本酒の香りを飛ばないようにします。
③徳利が半分まで浸かる量の水を鍋に張ったら、②を鍋に浸してみて、水の量を調節します。
④徳利を取り出し、鍋を火にかけて、1度沸騰させます。
⑤沸騰したら火を止め、徳利を浸します。
※このとき、人肌燗を作りたいからと言って40℃前後のお湯で燗をつけようとすると10分以上かかり、日本酒のアルコール分が飛んでしまうので、2分から3分の短時間で燗にするのがポイントです!

⑥お酒が徳利の口まで上がってきたのを確認したら、徳利を持ち上げ、中指の腹を徳利のそこへ当てて、やや熱いなと感じたら丁度良い燗に仕上がっている証拠です。
※徳利の素材や厚みによって感じ方が異なりますので、ご注意ください。

ヒトは、45℃前後の温度がおいしいと感じることが多いですが、人によっては飛び切り燗が好きな方や日向燗が好きという方もいらっしゃいますので、日本酒をつける際は、いろいろな温度を試してみてご自身に合った燗酒を見つけましょう。

【日本酒のおいしいつけ方~電子レンジ編~】

①徳利に日本酒を9分目まで注ぎ、ラップをします。
②日本酒1合(180ml)を電子レンジで温める場合、500wでおよそ40秒温めると人肌燗くらいの温かさになります。

電子レンジで日本酒をつける場合、徳利の上部と下部では温度差が生じるため、20秒ほど温めたら、1度取り出して徳利を振り、内部の温度を均一にします。
そして、再び電子レンジに入れて、好みの温度になるまで様子を見ながら温めてゆくのがポイントです。

湯煎で燗酒を作る際、蒸し燗・直火燗・リミットファイア燗・レギュラー燗・荒燗の3タイプの方法があり、それぞれ作り方が異なります。

【湯煎燗の種類】
●リミットファイア燗
1.徳利に日本酒を注ぎます。
2.鍋に徳利の7分から8分目ほどの水を注ぎ、沸かします。
3.沸騰したら火を止めて、徳利を漬けて好みの温度になるまでじっくり待ちます。
●レギュラー燗
1.徳利に日本酒を注ぎます。
2.鍋に徳利の7分から8分目ほどの水を注いで、徳利を中央に置き、中火にかけます。
3.温度をこまめに確認し、お好みの温度になったら徳利を引き上げます。
●荒燗
1.徳利に日本酒を注ぎます。
2.鍋に徳利の7分から8分目ほどの水を注いで、沸かしてゆきます。
3.鍋の底から気泡が盛んに立ち上るほど沸かしたら、徳利を鍋の中央に設置します。
4.徳利に注いだ日本酒が徳利の注ぎ口まで上がってきた、もしくは55℃から60℃になったら取り出します。

徳利をお湯に浸ける際は、お湯の温度が80℃前後であり、酒温計を使ってこまめに温度管理を行うことです。

●蒸し燗
1.日本酒を徳利へ注ぎ、蒸し器もしくは蒸籠へ入れます。
2.蒸気で蒸してゆき、目的の温度に達したら取り出します。
蒸し器で作る場合、湯気に包まれてアルコールの香りが抜けにくくなるのでお酒好きの方にオススメです。また、高温で温めるため、辛口よりの日本酒になりやすいのが特徴です。

●直火燗
1.鍋もしくはやかんを用意します。
2.鍋に日本酒を注ぎ、そのまま加熱します。
3.目的の温度に達したら、火を止めて完成です。

直接加熱するので、アルコールの味わいが他の燗付けよりもいちだんと感じられ辛口の日本酒になります。直火燗の場合、温度管理が非常に難しく、すぐに目的の温度へ達してしまうため、初心者の方にはオススメできません。

ちなみに、40℃前後のぬる燗を作りたいという方は、徳利にお湯を注ぎ入れ、容器がほんのりと温まったのを確認したら、中のお湯を捨てて日本酒を注ぎます。そして、そのままの状態で50秒から60秒ほど放置すると、ほどよい暖かさのぬる燗が完成します。
また、目的の温度よりもやや高温で燗付けを行い、自然に冷まして行く燗冷ましをする方法もございますので、覚えておくと良いでしょう。

今回は日本酒のつけ方のコツと燗酒のおいしい作り方についてご説明させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。

意外と難しいと思われがちの燗酒ですが、作り方さえ分かってしまえば、誰でも気軽に作れるお酒だということがお分かり頂けたかと思います。
まだまだ寒い時期が続きますので、是非この機会に自宅で燗酒を作ってみてはいかがでしょうか。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする