成人祝いのプレゼントにオススメしたい日本酒のひとつに「樽酒」があります。
樽酒といえば、慶事の際に酒樽の蓋を開く「鏡開き (鏡抜き)」が頭にパッと思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか。
鏡開きの由来は、はっきりとは分かっておりませんが、かつて武士たちが出陣の際に、兵士たちを鼓舞するために振舞酒として酒樽の蓋を開いたことが始まりだと言われています。
古くから丸くて平らな日本酒の樽の蓋のことを「鏡」と言っていたことから、樽の蓋を割り、お酒を皆で飲み交わすことを「鏡開き」と呼んでいたそうです。
樽に詰められている日本酒ですが、なぜお祝い事で用いられるようになったのかご存知ですか。
慶事に欠かせない“酒”は、かつて「栄え水」と呼ばれており、のちに「栄え水」の“さかえ”が“さけ”に転じ、運を開いて栄える酒を分かち合うことから、鏡開きは慶事の際に欠かせない日本酒となったのです。
古来の四大礼式として今も受け継がれている「冠婚葬祭」の「冠 (こうぶり)」には、元服という意味が込められており、成人祝いとして樽酒を購入される親御さんや親戚の方々も大勢いらっしゃいます。
そこで、今回は成人式を終えた子どもたちへのお祝いとしてプレゼントしたい樽酒をご紹介したいと思います。
これから一緒に酒を酌み交わそうというメッセージが込められた「吉野杉の樽酒」
奈良県北葛城郡にある「長龍酒造株式会社」は、元祖・瓶詰め樽酒で有名な老舗酒蔵です。
長龍酒造の樽酒は、1964年に「吉野杉の樽酒」の開発に成功後、日本全国に販路を広げ、現在は京都府伏見区にある宝酒造や兵庫県神戸市にある菊正宗酒造と共に日本三大樽酒として多くの日本酒ファンに愛されています。
長龍酒造の樽酒は、樹齢およそ80年の吉野杉の甲付材のみを使用した樽へ樽添えをしており、長年の樽添え技術と樽材へのこだわりによって生み出される樽酒独特の香りや味わいは右に出るものはいないと言われています。
長龍酒造の樽酒の中で最もオススメしたいのが「吉野杉の樽酒 雄町山廃純米酒」です。
およそ半世紀に渡って培った長龍酒造の樽添え技術を最大限生かして誕生した「吉野杉の樽酒 雄町山廃純米酒」は、穏やかでふっくらとした優しい樽香と100年以上途切れることなく栽培され続けている雄町の幅のあるふっくらとした味わいが絶妙なハーモニーを奏でます。
食中酒として頂くのがオススメですが、寒さの厳しい成人の日は燗をつけて嗜むのも絶品です。
大人の嗜みとして覚えていてほしいというメッセージが込められた「樽酒」
長龍酒造・宝酒造と並び日本三大樽酒として知られる兵庫県神戸市東灘区にある「菊正宗酒造株式会社」では、吉野杉の心地良い爽やかな香りとキッと引き締まった喉越しが楽しめる「樽酒」を成人祝いにプレゼントされるご親族の方々が多いそうです。
菊正宗酒造は、樽酒独特の樽香にセドロールなどの健康増進成分が含有されていることを明らかにし、樽酒を嗜むことで、アロマテラピーなどと同じ効果や効能を得ることができる日本酒として注目が集まっています。
菊正宗酒造の樽酒といえば、辛口本醸造酒を四斗樽 (72リットル樽)へ詰め、吉野杉の香りが日本酒へほどよく移った際に取り出して、瓶詰を行って全国へ出荷しています。
吉野杉を樽に使用する理由は、原産地である紀伊半島の温暖な気候と多雨によって、杉の香りが良く、木目も均一であるため、古くから樽酒の素材として用いられています。
菊正宗酒造の樽酒は、やや淡麗の辛口タイプですので、新成人が初めて嗜む日本酒としては、ちょっぴりハードルが高いかもしれませんが、吉野杉のフレッシュで快い香りとキッと引き締まった喉越しは、これから大人として社会に出る子どもたちへの良い刺激になるのではないでしょうか。
今回は成人祝いのプレゼントにオススメの日本酒「樽酒」をご紹介させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。
樽酒には、健康や幸福を祈願するだけではなく、願いを成就するようにという思いが込められており、日本固有の文化でもあります。成人祝いに何をプレゼントしたらよいか悩まれているご親族の方々は、新成人となった子どもたちの健康や幸福を祈って贈ってみてはいかがでしょうか。