「名月や 池をめぐりて 夜もすがら」この俳句は、貞亨3年8月の十五夜に江戸深川六間堀の鯉屋杉風の控屋敷にあった松尾芭蕉の草庵「芭蕉庵」にて、催された月見の会にて、隅田川に舟を浮かべて夜空に浮かぶ美しい月を心ゆくまで楽しんだ際に詠われた句です。
中秋の名月は、毎年必ず見えるものではなく、お月様が雲に隠れてしまい見られない場合は「無月 (むげつ)」、雨が降ってしまった場合は「雨月 (うげつ)」、薄雲がかかった場合は「薄月 (うすづき)」と呼び、先人たちはお月様が悪天候で観ることが出来なくても、まるでそこに月があるかのように愛でていたと言われています。
さて、そんな中秋の名月を愛でるお月見ですが、1年のうちで最も美しいお月様を観ることができるのは十五夜ですが、ゆうべと夜中のあいだの初更 (しょこう)に観られる宵月も忘れてはいけません。
そこで、今回は初更のあいだに観られるお月様でお月見をしたいという方にオススメの日本酒をご紹介します。
穏やかでふっくらとした香りとまろやかな味わいが楽しめる日本酒「宵の月」
岩手県紫波郡紫波町にある1886年創業の老舗蔵元「有限会社 月の輪酒造店」は、若狭出身の横沢家初代が、この地で麹屋を営んでいたのですが、横沢家4代目が酒造りへの情熱に燃えたことで酒造業を創業したのがはじまりです。
月の輪と聞くと、全身光沢のある真黒色の毛と喉の下に三日月のような白斑を持つツキノワグマを思い浮かべる方も大勢いらっしゃるかと思いますが、月の輪酒造店の「月の輪」の由来は、源頼義・義家父子が厨川の柵に安部貞任攻略の際に3万2千の軍団を偵察のために宿営させたのが現在の蜂神社にあたる地と言われています。
この地に宿営を取った頼義と義家は、兵士や兵馬のための飲み水を得るために池を掘ったのです。
そして、9月15日の月夜、偶然源氏の旗に描かれた日月が池に映り、黄金に輝いたことから、将軍・頼義は兵士たちを集め「これ厨川柵攻略の吉報なり、直に進軍せん」と命を下し、17日に見事厨川を陥落させることに成功したのです。
その後、陸奥守鎮守府の将軍・藤原秀衡がこの池を訪れ、厨川陥落の話を聞き、池のかたちを円形へと修理し、そのなかに太陽と三日月を模した島を作り、これを「月の輪形」と呼んだそうです。
これが、月の輪酒造店の「月の輪」にまつわるお話です。
さて、そんな月の輪酒造店では、女性が醸すフルーティな香りと爽快で気持ちの良い淡麗な味わいをもつ後味の良い日本酒「宵の月」が人気を集めています。
宵の月は、出羽燦々と秋田酒49号の交配によって誕生した酒造好適米「吟ぎんが」を50%まで磨き、丁寧に醸した大吟醸です。
穏やかで控えめな香りとまろらかな味わいを持っており、高品質な日本酒を誰でも気軽に購入できるようにという蔵元の想いから、平成5年の発売以来、値上げすることなく、大吟醸 宵の月を造り続けています。
内容量も300mlから1800mlと幅広く用意されており、さらに化粧箱入りのものまで販売されておりますので、贈答用にもオススメです。
今回はお月見にオススメの日本酒「宵の月」をご紹介させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。
大吟醸 宵の月は、高品質なお酒にも関わらず、コストパフォーマンスも良く、今では月の輪酒造店を代表する銘柄となっており、たいへん人気があります。
十五夜を眺めながらゆったりと独酌を楽しみたいという方や家族や友人とお月見パーティで盛り上がりたいという方は、この機会に1本購入してみてはいかがでしょうか。