お月見十五夜・十三夜・十日夜・中秋・仲秋の違い

お月見の話題が出る際、よく「中秋の名月」や「十五夜」という言葉を耳にしますが、これらの言葉の意味をご存知ですか。

今回はお月見に関する疑問である「中秋」と「仲秋」の違いや「十五夜」・「十三夜」・「十日夜」の違いについてご説明しましょう。

中秋と仲秋の違いとは?

よく十五夜のことを「中秋の名月」や「仲秋の名月」と言いますが、十五夜を表す場合、「中」と「仲」どちらの漢字を用いるのが正しいのかご存知ですか。

中秋と仲秋、どちらも「ちゅうしゅう」と発言するのですが、? (にんべん)が付いているか否かで言葉の意味が大きく変わってくるのです。

では、「中秋」と「仲秋」それぞれの意味をご説明しましょう。

【中秋】
旧暦では7月から9月の3ヶ月間を秋としており、秋の丁度真ん中の日である8月15日を「中秋」と言います。
そのため、中秋の名月=旧暦の8月15日の名月という意味になり、十五夜を表す際はこちらの言葉を用いるのが一般的となっています。

【仲秋】
旧暦で秋の期間と言われている7月・8月・9月は、それぞれ、初秋・仲秋・晩秋という言葉で表現されており、仲秋は8月の別称となっています。
ですので、仲秋の名月=8月に観られる名月という意味になります。

十五夜をピンポイントで表す言葉なのか、ひと月のあいだに観ることができる美しい月を表しているのかで使い分けるのがポイントとなっています。

十五夜・十三夜・十日夜の違いとは?

十五夜の月見行事は、中国でも行われている有名な観月ですが、日本では、十五夜だけではなく、十三夜も愛でるのが風流とされています。
十三夜は日本発祥の月見行事であり、十五夜と十三夜を2つ合わせて「二夜の月」と言い、見逃してしまった場合は「片見月 (片月見)」といって野暮だとされています。

さて、十五夜と十三夜は「二夜の月」と称され先人たちから愛されていますが、もうひとつ「十日夜」という月があることをご存知ですか。

では、十五夜・十三夜・十日夜の違いをご説明したいと思います。

【十五夜】
旧暦8月15日に観られる月を「十五夜」と言います。

十五夜は、1年のうちで最も美しい月を観賞しながら、秋に実る農作物の豊作祈願や収穫に感謝をする行事でもあり、別名「中秋の名月」と呼ばれています。

旧暦の7月から9月の3ヶ月間は、秋にあたり、初秋である7月は台風や長雨が続くのですが、仲秋の8月はすっかりと晴れ渡った秋空が広がり、空気も澄んでいるため、お月様の美しい姿がくっきりと浮かび、中国から伝わった月見行事と日本に古くから伝わる月を祀る風習が合わさり、誕生したのが、観月の宴です。

そして、貴族から武士、そして庶民へとお月見行事が広まると、徐々に秋に収穫を迎える農作物の収穫祝いとなり、サトイモやさつま芋の収穫祝いを兼ねて「芋名月」と呼ばれるようになり、現在に至ります。

【十三夜】
中秋の名月の観賞が終わったら、今度は「二夜の月」のひとつである十三夜を観賞しましょう。
十三夜は、旧暦9月13日のお月見行事のことであり、旧暦8月15日の十五夜の後に巡ってくるため、「後 (のち)の月」とも呼ばれています。

十三夜の起源は、919年に醍醐天皇が催した月の宴を始めた説と宇多法皇が旧暦の9月13日の月を無双と称したのが始まりとする説などがあり、いつ頃から始まったのかは定かではありませんが、日本発祥の行事であることは明らかにされています。
十三夜は、十五夜に次いで美しい月と称されており、当時はどちらか一方しか見られなかった場合は、たいへん縁起が悪いとされ、忌み嫌われていました。

十三夜も十五夜同様、秋に実る農作物の収穫を祝う行事であり、「栗名月」や「豆名月」と呼ばれています。
また、二夜の月は男女の恋を応援するイベントでもあったそうで、十五夜を共に過ごした男女は、次の十三夜を共に過ごせると恋が実るというジンクスがあり、多くのカップルが誕生したといいます。

【十日夜】
十日夜 (とおかんや)とは、旧暦10月10日に行われていた収穫祭のことを表します。
この日は、丁度稲刈りを終えて田の神様をお見送りする行事が行われるため、メインはお月見ではありません。

十日夜は月齢に関係なく行われることが多く、十日夜や主に東日本を中心に催されている行事であり、毎年新暦11月10日頃に開催されています。また、西日本では旧暦10月亥の子(いのこ)の日、もしくは、11月に類似する収穫祭が行われています。
十日夜の行事は地域によって異なりますが、稲刈りが終わり、田の神様が山へ帰る日に稲の収穫をお祝いして、お餅を搗いて食べたり、稲の茎を束ねた「わらづと」や「わら鉄砲」で地面を叩きながら地の神様を励まし、土竜を追い払ったりします。
また、田の神様の化身である案山子へお供え物をする「かかしあげ」を行ったり、かかしにお月見をさせている地域もございます。

昔から「十五夜・十三夜・十日夜の3日間が全て晴れていると縁起が良い」とされています。
今年は何日晴れるのか楽しみですね。

今回はお月見に関する疑問である「中秋」と「仲秋」の違いや「十五夜」・「十三夜」・「十日夜」の違いについてご説明させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。
お月見の由来や歴史、言葉の意味を知ることで、お月様の大切さや先人たちの想いを感じ取ることができたかと思います。今まで夜空を眺めることが無かったという方々も、この機会に顔を上げて、温かく優しい明かりであなたを照らしているお月様を眺めてみてはいかがでしょうか。

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