お月見の正しいやり方や楽しみ方

旧暦の8月15日は中秋の名月「十五夜」ですが、この日は古くから1年で最も美しい月が観える日と言われており、平安時代の頃より行われている伝統行事のひとつです。
ですが、近年お月見を行う方々が減少傾向にあり、特に関東地方や北陸地方では、お月見行事を行う人々はほとんどいらっしゃいません。
また、お月見行事は男性に比べ、女性の方が多く、家族や恋人、友人たちと共に中秋の名月を眺めながら、秋の世を楽しんでいらっしゃいます。

さて、そんなお月見ですが、皆さんは正しいお月見行事のやり方をご存知ですか。
実は、お月見団子の数や薄 (すすき)をお供えするのには、きちんとした意味があったのです。

そこで、今回は意外と知らないお月見行事の正しいやり方をご紹介したいと思います。

古くから伝わる日本の正しいお月見行事のやり方

現在日本で行われているお月見行事は、江戸時代の頃に行われていたお月見行事が起源だと言われています。
それまでのお月見行事は、直接お月様を眺めるのではなく、水面や盃に映る美しい月を眺め、和歌や俳句などを詠うという「観月の宴」が主流だったからです。
もちろん、平安時代の頃に行われていたお月見行事を私たちが行っても良いのですが、せっかくのお月見ですので、家族や恋人、友人たちと自宅で美しい月を眺めながらまったりと過ごしたいですよね。

では、現代行われているお月見行事の正しいやり方をご説明したいと思います。

正しいお月見行事のやり方

現在日本で行われているお月見は、中秋の名月である旧暦の8月15日の夜にお月様が見える場所に薄や秋の七草を飾り、月見台を用意します。
月見台とは、お月見を行う場所のことであり、お月様が見える場所ならばどこでもOKです。
例えば、窓からお月様が見えるならば、窓辺にテーブルを設置し、庭から見えるのであれば、ガーデンテーブルを庭に置きましょう。
アパートやマンションにお住いの方は、出窓から月が観えるのを確認し、出窓の張り出し部分を利用したり、ベランダに小型のテーブルを置くのがオススメです。

月見台を用意したら、三方 (三宝)に奉書紙などの白い紙を敷き、お月見団子を15個・13個・12個・5個用意し、段重ねで並べてゆきます。
三方が無いという方は、お盆やお皿に白い紙を敷き、その上にお団子を乗せてゆきましょう。

お団子の数ですが、十五夜にちなんで15個が一般的ではありますが、1年間に観られる満月の数に合わせて12個 (閏の場合は13個)・十五夜を簡略した5個でも問題ありません。

また、十五夜の月見は、別名「芋名月 (いもめいげつ)」とも呼ばれており、サトイモやさつま芋といった芋類の収穫を祝うという意味もふくまれておりますので、お月見団子と共にサトイモやさつま芋、サトイモの小芋を茹でた「きぬかつぎ」を用意しましょう。

秋の実りに祈りを捧げる行事でもあるお月見では、秋に旬を迎える農作物をお供えするのも忘れてはいけません。
なかでもブドウなどの蔓性植物の作物は、月と人との繋がりを強くする縁起物と言われているので、必ず1つは用意しておきましょう。

お月見といえば、忘れてはならないのが「薄 (すすき)」です。
本来ならば、稲穂を用意したいところなのですが、時期的に稲穂を用意することができないため、稲穂によく似ている薄をお供えするようになったと言われています。
薄は月の神様の依り代という役割を担っており、さらに古くから切り口の鋭い薄には魔除け効果があると言われており、お月見を行った後は、軒先へ吊るしておきましょう。
薄を飾る際、口がすぼまっている小型の壷「瓶子」に挿して飾るのがオススメです。
また、薄だけではなく、秋の七草を添えて飾るのも風情があって良いと言われています。

日本では、お月見を行う際、月から見て左側にお月見団子などのヒトの手によって作られたものをお供えし、反対側に薄や秋の七草などの自然界のものを置くようにしましょう。

海外のお月見行事は日本と違うの?

日本のお月見行事のやり方についてご説明させて頂きましたが、海外ではいったいどのようなお月見行事が行われているのでしょうか。

お月見行事発祥の地である中国では、旧暦の8月15日の十五夜を「中秋節」と呼び、盛大にお祝いしています。
中国では、中秋節は祝日となっており、この日は「月餅」を食べながら美しい月を観るのが中国の正しいお月見行事のやり方でした。
ですが、近年は行事食である月餅をひと月以上前から知人へ配るようになったため、中秋節当日には月餅を食べ飽きてしまうという方が続出し、中秋節当日は、売れ残りを恐れて月餅の安売りを行うお店も多いようです。

香港では、中秋節の翌日である旧暦の8月16日が公衆休日となっていますが、いくつかの学校や会社は8月15日の午後からお休みとなるそうです。
香港の中秋節では、月餅のほかに、サトイモやスターフルーツ、ヒシなどを購入してお祝いをするのが定番なのですが、最近では様々な新しい月餅が続々と誕生しており、「冰皮月餅 (アイス月餅)」は、たいへん人気があります。

台湾では、中秋節はとても大切な民俗行事となっており、台湾全土で休日となっています。
お月見をしながら、月餅や文旦を食べるのが台湾流であり、地域によっては、アヒルを食べたり、小麦粉を練った中に黒糖を塗って焼いた「菜餅」を食べるなど独自の風習でお月見行事が行われています。

ベトナムでは、毎年中秋節になると「クオイ伝説」にちなみ、子どもたちが灯籠を灯して行列を成し、クオイの妻が地上へ無事に帰ってこられるようにと道標を作っています。
ベトナムの月餅は、中国と同じく丸いものもありますが、四角いものが一般的となっています。
また、ベトナムでは、中秋節の前と最中に獅子舞が登場し、通りを踊って家を訪れ、家主の許可が下りると、家の中に入って舞を披露し、この家に幸福が訪れるようにと祈りを捧げます。そして、家主は感謝の気持ちを込めて獅子へご祝儀を渡すのがベトナムのお月見行事となっています。

今回は、お月見行事の正しいやり方についてご紹介させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。
他にもヨーロッパや韓国などでもお月見行事が行われており、日本だけではなく、世界各国でお月様が如何に大切にされているのかがうかがえます。
是非、この機会に世界中のお月見行事について学び、これからやってくる中秋の名月を家族や恋人、友人たちと共にお祝いしてみてはいかがでしょうか。

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