夏酒とは

いま話題の夏酒とはいったいどんな日本酒なのか

日本の夏は、蒸されるように暑く、風もほとんど吹かないため、エアコンや扇風機などが無かった時代を過ごした先人たちはこの時期を如何に涼しく乗り切るのかと試行錯誤していたと言います。

ですが、日本人は古くから季節の変化を楽しもうとする性質があり、土用入りするとウナギやシジミ、あんころ餅に卵、ニンニクといった精の付く食べ物を食べたり、まだ涼しい早朝に池沼や水田へと足を運んで蓮見を行ったり、無病息災を祈って祇園祭などに参加したりと、インドアな現代人とは異なり、先人たちは意外とアウトドアだったことがうかがえます。

「今は温暖化の影響で昔と今の気候が違うからでしょ?」と仰る方も大勢いらっしゃいます。

確かに、昔と今とでは気候も環境も大きく異なりますが、日本人ならではの性質は、気付いていないだけで、皆心のどこかに持っているのです。
その証拠に暑さを払い除けるために何かしらの対処法を講じようと銷夏(しょうか)法を探そうとしますよね。

なかでも、社会人のあいだで特に人気の高い銷夏法が「お酒」です。

特にキンキンに冷えた一杯を蒸し暑い屋外で飲むのは最高の贅沢のようで、毎年ビルの屋上や庭園風にしつらえた場所でアルコールや絶品の料理が頂けるビア・ガーデンは多くのサラリーマンたちの憩いの場となっています。

しかし、日本にも日本酒という独自のお酒がありますので、たまにはいつもとは趣向を変えて、蒸し暑い夏を雪冷え・花冷え・涼冷えまで冷やした日本酒で暑気払いを楽しんでみてはいかがでしょう。

「でも、日本酒の旬は秋から冬にかけてですので、今の時期は美味しくないのでは?」と思われる方も大勢いらっしゃるかと思います。

ですが、ご安心ください!2007年頃に誕生した夏酒は、夏らしい爽やかな香りや味わいを持つ日本酒ですので、暑気払いに打って付けなのです!

そこで、今回は今話題の夏酒とはいったいどんな日本酒なのかについてご説明します。

夏酒とは?

夏酒とは、初秋に “秋上がり(ひやおろし)”が発売されるまでの期間、日本酒消費量の低下を食い止めるべく、全国各地の酒造メーカーが、“夏でもおいしく飲める日本酒”をコンセプトに、これまでに類を見ない新しい日本酒開発や斬新な飲み方の提案、各地での積極的な日本酒イベントを催すなど夏場における日本酒訴求を積極的に行ったことで、これまで寒さが厳しくなる冬に飲むというイメージの強かった日本酒のイメージがガラリと変わり、2007年頃に誕生した新しい言葉です。
現在、日本酒はロバート・デ・ニーロやジャン・レノ、キャメロン・ディアスといった世界で活躍されているスターの方々にも愛されており、今では「夏酒=日本酒」というイメージが定着しているそうです。

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オススメの夏酒を3銘柄ご紹介!

では、さっそくこの夏オススメの夏酒を3銘柄ご紹介したいと思います。

出羽鶴 純米吟醸 クラムボン

秋田県大仙市戸地谷にある1865年創業の老舗蔵元「秋田清酒株式会社」より2016年6月28日から発売されている夏酒「出羽鶴 純米吟醸 クラムボン」は、しぼりたてを思わせるような清新な香りと味わいを持っており、しゅわしゅわと心地良い微量の炭酸が爽快感と軽快さを演出している日本酒です。

水の中をゆったりと移動する泡や光のような揺らぎをイメージして作られた「出羽鶴 純米吟醸 クラムボン」は、現実からかけ離れた幻想的なお酒に仕上がっておりますので、真夏の夜を大切な方と時間を忘れて過ごしたいという方にオススメです。

ちなみに、「クラムボン」とは、岩手県花巻出身の詩人であり童話作家でもある宮沢賢治の作品「やまなし」に登場するキャラクターの名前であり、童話を読みながら十分に冷えたお酒を嗜むのも一興です。

あさ開 大吟醸山田錦 ハレの日夏酒

岩手県盛岡市大慈寺町にある1871年創業の老舗蔵元「株式会社 あさ開」では、この夏本数限定で「あさ開 大吟醸山田錦 ハレの日夏酒」の販売が始まりました。

山田錦100%使用したこちらの夏酒は、“酒米の王様”と称される山田錦を丹念に50%まで磨き上げて醸した大吟醸であり、瓶詰の際に1度だけ火入れを行うことで、より一層芳醇さが増し、さらに、加水調整を行うことで後の残らないサラリとした飲みやすい日本酒へと変化させています。

“夏のスッキリと晴れた青空の下で愉しむ軽快な大吟醸”をコンセプトに醸された日本酒ですので、キャンプやバーベキューなどのアウトドアや真夏のレジャーのお供にオススメです。
きめ細やかな口当たりが楽しめる花冷え(10度前後)でお楽しみくださいませ。

純米生酒 菊の司 ひまわり

岩手県盛岡市紺屋に本社を構える1615年から1623年(※酒造創業安永年間)創業の老舗蔵元「菊の司酒造株式会社」では、2016年の夏酒より、1度火入れタイプから本生タイプへと変更され、日本酒初心者の方でも安心して嗜める“夏純米”「純米生酒 菊の司 ひまわり」が発売されました。
こちらの夏酒は、嫌味を感じさせない柔らかな香りと心地良い後味の余韻が特徴であり、ちょっぴり辛口でしっかりとしたボディのある飲み応えバッチリな本格純米生酒なので、冷酒だけではなく、オン・ザ・ロックでも楽しめます。
高めの酸味がスッキリとしたキレと絶妙なバランス感覚を持つ「純米生酒 菊の司 ひまわり」は、真夏の女子会にピッタリなお酒ですので、この機会に1本購入してみてはいかがでしょうか。

今回はいま話題の夏酒とはどのような日本酒なのかについてご説明させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。

冬に嗜むイメージの強い日本酒を「夏でもおいしく飲んでもらいたい!」という酒造メーカーの強い想いから誕生した夏酒は、この時期限定のスッキリ爽やかなテイストのお酒です。

たまには、大切な方と共に、風鈴の音を聞きながら十分に冷やした夏酒と旬の食材を使ったおつまみを嗜みながら、真夏の夜を涼やかに過ごしてみてはいかがでしょうか。

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