あらしぼり・中取り・責めとは?
日本酒のボトルに「あらしぼり」や「中取り」というラベルが貼られているのを見かけたことはありませんか?
この「あらしぼり」や「中取り」、「責め」というのは、上槽を行っている際、どのタイミングで滴り落ちてきたお酒なのかを表すもので、上槽を開始した直後に滴り落ちてきたお酒を「あらばしり」、搾り出した中ほどを「中取り」、搾り終わりを「責め」と呼びます。
では、上槽の搾り段階「あらばしり」「中取り」「責め」と呼ばれる日本酒には、どのような香りと味わいの違いがあるのでしょうか。
上槽の搾り段階別の香りや味わいの違いとは
では、上槽の搾り段階別の日本酒の名称とそれぞれの香りや味わいについてご説明したいと思います。
あらばしり
上槽を始めた際に醪から出てくるお酒を「あらばしり(「荒走り」または「新走り」)」と呼ばれます。あらばしりは、搾り初めということもあり、淡く濁っており若々しく華やかな香りを持っています。あらばしりの味は、荒々しくて清新感があります。
中取り
あらばしりの搾取が終わった後に醪から出てくるお酒を「中取り(「中汲み」または「中垂れ」)」と呼びます。中取りは、香りと味わいの調和が非常に優れているため、主に鑑評会に出品する日本酒として用いられます。
責め
上槽の最終段階で醪から出てくるお酒を「責め(「攻め」または「後取り」)」と呼びます。中取り後に全力で圧を加えて、最後の一滴まで搾り取るかたちで搾取されるため、あらばしりや中取りと比べ、醪の成分をたっぷり含んだアルコール度数の高い、パワフルで混ぜ物のない濃厚な味わいのお酒となります。
あらばしりと中取りでは、どちらが日本酒初心者にオススメ?
日本酒初心者の方が搾りたてのフレッシュな日本酒を購入する場合、あらばしり・中取り・責めの3つから選ぶとするならば、どれが一番オススメなのでしょうか。
この3つの中で最もアルコール度数が高く、パワフルな味わいを持つ「責め」は、日本酒初心者の方にはやや不向きのため、搾り始めの「あらばしり」もしくはバランスの良い「中取り」の2つがオススメなのですが、この2つの日本酒にはどのような違いがあるのでしょうか。
今回は群馬県にある栁澤酒造の「結人」のあらばしりと中取りを例にご紹介したいと思います。
【結人 新酒 あらばしり 純米吟醸】
五百万石を精米歩合55%まで磨き、自社選抜10号系酵母で醸造された「結人 新酒 あらばしり 純米吟醸」は、味わいのバランスをしっかり考えて造られたお酒です。
微発泡のため、清々しく爽やかさを持っており、あらばしりとしては珍しいさっぱりとした味わいが愉しめます。
中取りと比べ、酸味・甘み・苦み・渋みといったそれぞれの味わいが複雑に混ざり合い、飲みにくく感じるかもしれませんが、新酒らしい荒々しさと清新な味わいを堪能できます。
【結人 中取り 純米吟醸】
こちらの日本酒も「結人 新酒 あらばしり 純米吟醸」と同様のお米・精米歩合・酵母を使用しています。
あらばしりと比べ、柔らかく穏やかで丸みを帯びた味わいが特徴です。ふっくらとした甘みが感じられるため、日本酒初心者の方でも安心して飲むことができます。
特にキレのあるすっきりとした後味は柔らかな口当たりからは想像できないほど爽快です。
今回は上槽の段階別によるお酒の違いについてご説明させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。
あらばしり・中取り・責めはそれぞれ、異なる魅力を持った日本酒であり、普段飲んでいる日本酒とは香りも味わいも異なるため、日頃日本酒を飲んでおり、ちょっぴり他の銘柄に挑戦してみようかなとお考えの方やこれから日本酒を始めようとお考えの方は、この機会に1つ購入してみてはいかがでしょうか。