日本酒と水の関係

「名水あるところに銘酒あり」という言葉があるとおり、日本酒造りには水がとても重要となります。そのため、環境省が日本各地の名水として認定した100か所の湧水・河川(用水)・地下水の付近には必ず酒蔵があります。
また、2008年には平成の名水百選として新たに100か所の名水認定を行い、現在では200か所の名水地が存在します。

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おいしい日本酒を造るには、清冽な水が大量に必要となります。
なぜらな、日本酒を造る際、洗米・浸漬・酒母造り・仕込みなどほぼ全ての工程で水を使うからです。そのため、日本酒の成分の80%ほどが水となっています。

老舗の酒蔵の大半は自家用の井戸が設置されており、湧水や付近の河川の清冽な水を使用しています。また、なかには遠方からタンクローリーを使ってわざわざ水を運び、醸造を行っているというこだわりの強い酒蔵もございます。

日本酒はお米のブランドや精米歩合、酵母の種類もたいへん重要ですが、清冽な水の存在も忘れてはいけないのです。

では、水によって日本酒の香りや味わいはどのように変化するのかをご紹介したいと思います。

日本酒と水の関係~水の選び方~

日本酒造りに欠かすことの出来ない水ですが、まず使用される水が日本酒造りに適しているのかどうかを見極める必要があります。
例えば、私たちが普段口にしている水道水ですが、水道水に含まれる鉄分の含有量は0.03ppm以下が基準となっていますが、醸造用に使用する水は0.02ppm以下(検出されないことが望ましい)と定められています。

もちろん、鉄分だけではありません。以下に日本酒造りに適した水の条件をまとめましたので、ご参照ください。

日本酒造りに適した水の条件
・鉄分:002ppm以下(検出されないのが望ましい)
・マンガン:0.02ppm以下(検出されないのが望ましい)
・亜硝酸性窒素:検出されない
・過マンガン酸カリウム消費量(有機物):5ppm以下
・アンモニア性窒素:検出されない
・細菌酸度:2ml以下
・色沢:無色透明
・臭気:異常なし
・味:異常なし

これらの条件を守らずに日本酒を醸造してしまうと、酒質が悪くなるため、酒蔵ではこまめに水質調査を実施し、異常が無いことを確認しています。
また、醸造現場では、仕込みに使用する水は活性炭フィルターや精密な濾過フィルターを幾重にも重ねて有機塩素・鉄分・マンガンなどを取り除くなど入念に水の処理を行っています。

技術の向上は優れた日本酒を造る酒蔵にとっては、とても嬉しいことですが、古くから日本酒は水質によって酒蔵独自の香りや味わいを演出してきたため、現代の日本酒の味わいはほんやりと曖昧なものになりつつあります。
ですが、これらの技術をうまく活用し、杜氏たちの知識と経験によって今もなお独自の酒造りを行っている蔵も多いので、それぞれの蔵の味はしっかり守られておりますのでご安心ください。

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