酒類製造免許とは

お酒を製造するのに必要な酒類製造免許の取得及び申請について

日本では、日本酒やその他のアルコール分を含む飲料の製造を行う際には「酒類製造免許」と呼ばれる免許が必要になります。

この免許を取得していない方や申請していない方がお酒を製造してしまうと、酒税法第54条10年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。さらに、お酒を製造する際に使用していた機械や器具をはじめ、醸造した酒類や酒母、醪、原材料など所有者が誰であっても全て没収されます。

事件番号昭和61年(あ)第1226号「どぶろく裁判」をご存知ですか。
どぶろく裁判とは、被告人自身が飲酒を楽しむために自宅で日本酒などのアルコール飲料を製造していたところ、無免許で製造しているのが発覚し、酒税法違反で逮捕及び起訴された事件です。
1986年3月26日千葉県地方裁判所の第一審の判決では、被告人は酒税法第54条第1項により罰金30万円に処し、その判決に納得の行かなかった被告人は直接上級裁判所に訴訟手続きを行ったのですが、1986年9月29日東京高等裁判所で行われた第二審では控訴を棄却されたため、上告したという裁判です。

どぶろく裁判と現在の酒税法

最高裁判所も第二審同様、上告を棄却したのですが、その理由は以下の通りでした。

「酒税法とは、たとえ自身の消費を目的とする酒類製造であったとしても、これを打ち捨てて干渉せずにしてしまった場合、酒税収入減少などの酒税の徴収確保に支障をきたす可能性が示唆される。
そのため、国家の重要な財政収入の1つである酒税の徴収をしっかり確保するため、酒類の製造に関する如何を問わず、酒類製造を一律免許対象とした上で免許を取得していない者が酒類を製造していた場合は処罰の対象となる。
これによって、自身の消費目的の際に酒類製造に自由な制約がなかったとしても、規制が立法機関の裁量を本筋から逸れて外れていると判断出来るため、顕著に不合理であることが明白であると判断することが出来ず、憲法31条及び13条に違反する。」

この裁判では、酒類製造免許の取得が無い人物がアルコール分を含む飲料を製造した際、日本国憲法第13条に記されている人間の幸福を追求する権利と呼ばれる自由権に焦点を当てた裁判となっています。

そもそも酒税法とは、酒税の賦課金徴収や酒類の製造・販売免許などを制定した法律です。アルコール分を1%(容量パーセント濃度1%)以上含んでいる飲料に適用される法律であり、アルコール度数が90%を超えるものはアルコール事業法として扱われます。
しかし、現在では酒税法が幾分か緩和されており、1962年より自宅で梅酒やリキュールを製造することが出来るようになりました。しかし、梅酒などを製造する際に使用するアルコール飲料に含まれるアルコール度数は20度以上とするなど厳しい条件が付けられています。

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