アルコールの代謝

酔うとは、生理現象の1つで、アルコールによる酒酔いと自動車や船舶などに乗ったさいに現れる乗り物酔いの2つに分類されます。

日本酒などのお酒を摂取したことによる「酒酔い」は、アルコールに含有されているエチルアルコールが脳の機能を抑制することで引き起こされる場合と体内にてアルコールの代謝が行われる際に生成される無色で刺激臭のある可燃性液体アセトアルデヒドの作用による場合の2種類あります。

お酒の主な成分は、水とアルコールであり、ヒトはお酒を飲むことで酔いの状態になります。

では、ヒトはアルコールをどのように代謝しているのかをおおまかにご説明させて頂きます。

アルコールの代謝メカニズム

体内に入ったアルコールのおよそ20%が胃から吸収され、その他の大部分は小腸から吸収されます。吸収されたアルコールは血管内に入り込み、血液に溶け込んで全身へと運ばれた後、目的地である肝臓へとやってきます。

肝臓に運ばれてきたアルコールは、アルコール脱水素酵素「ADH」やミクロゾームエタノール酸化系「MEOS」、アセトアルデヒド脱水素酵素「ALDH」の働きによって、およそ90%以上が代謝されます。

先ず、ADLやMEOSの働きによってアルコールがアセトアルデヒドに分解されます。
このアセトアルデヒドは、刺激臭を発する無色透明の液体で、酢酸の原材料であります。別名「エタナール」とも呼ばれており、非常に毒性の強い成分です。
お酒を飲むことで、体内で大量に生成された有毒性のアセトアルデヒドはDNAなどと結合し、様々な疾患を引き起こす原因となります。特に飲酒によって生成されたものは発ガン性を有しており、そのままでは生活習慣病などを引き起こす可能性があります。

そこで、登場するのがALDHです。

ALDHには、体内で大量に生成された有害物質のアセトアルデヒドを分解し、無害の酢酸へと分解してくれます。

アルコール及びアセトアルデヒドを分解する酵素には、アルコール分解酵素「ADH2」・アルコール分解酵素「ADH3」・アセトアルデヒド分解酵素「ALDH2」の3種類あるのですが、これら3種の酵素は血液型と同じく両親の遺伝によって決まっており、それぞれ両親の遺伝子情報の1つずつを各々受け継いでいます。

そのため、酒豪や下戸などお酒に強い人と弱い人が存在するのです。

アセトアルデヒドを無害にする働きを持つALDHの1種であるALDH2(アセトアルデヒド脱水素酵素2型)の働きによって、アセトアルデヒドを酢酸へと分解され、その後、血液と共に全身を巡るうちに水と二酸化炭素に分解され、体外へ排出されます。

ちなみに、アルコールのおよそ10%は代謝されずに汗や尿、呼気として体外へ排出されています。肝臓で代謝しきれなかったアルコールですが、肝静脈を通り、心臓へ運ばれ、全身を巡った後、再び肝臓に運ばれて分解されるようになっています。

肝臓の代謝能力には個人差がありますが、体重60kgから70kgの方の場合、1時間でおよそ5gから9gほどの代謝が行えると言われています。

今回はアルコールの代謝についてご説明させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。

これから日本酒を嗜むという方も大勢いらっしゃるかと思いますが、まずは日本酒の飲み方を学ぶ前に、アルコールが体内でどのような作用をするのか、どういった仕組みで体外に排出されるのかを学び、周囲の方々に迷惑をかけないようにすることが大切です。

酒に呑まれず、日本酒などのアルコール類と正しいお付き合ができるよう努めてゆきましょう。

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