血中アルコール別の酔い症状

日本酒の飲み方の基本として、先ずはアルコールが身体に与える影響について知識を深めておくことが重要となります。

まず、日本酒などのお酒を飲むと、胃や小腸にてアルコールが吸収され、血液と共に全身へ運ばれます。アルコールの分子は小さいので、脳内の血管に入り込んで、脳を麻痺させてしまいます。

実はこの酔ったという状態は、アルコールが脳内の血管に運ばれ、脳を麻痺させることで身体や精神に変化をもたらすことであり、酔いの状態は血中アルコール濃度によって6段階に分けられています。

では、血中アルコール濃度別の症状をご紹介したいと思います。

酔いの状態を表す6段階

【爽快期】

1. 血中アルコール濃度:0.02%から0.04%
2. アルコール呼気中濃度:0.10%から0.20%
3. 脳への影響:理性を司る大脳真皮質の活動が低下し、本能や感情を司る大脳辺縁系の箍(たが)が外れ、活発になる。
4. 酔いの状態:気分が爽快になる・皮膚が赤くなる・陽気になる・判断力が若干鈍ってくる・食欲が増す・血行が良くなるなど

【ほろ酔い期】
1. 血中アルコール濃度:0.05%から0.10%
2. アルコール呼気中濃度:0.25%から0.50%
3. 脳への影響:爽快期よりも大脳真皮質の活動が低下します。
4. 酔いの状態:ほろ酔い気分になる・手の動きが盛んになる・顔が紅潮する・理性が失われる・体温の上昇・脈拍が上がる・饒舌になる・行動が大胆になるなど

【酩酊初期】
1. 血中アルコール濃度:0.11%から0.15%
2. アルコール呼気中濃度:0.55%から0,75%
3. 脳への影響:徐々に大脳だけではなく、遂に運動機能を司る小脳への麻痺が始まります。
4. 酔いの状態:気が大きくなる・大声で怒鳴ったり、やかましくなる・怒りっぽくなる・立つとふらつくようになるなど

【酩酊期】
1. 血中アルコール濃度:0.16%から0.30%
2. アルコール呼気中濃度:0.80%から1.50%
3. 脳への影響:酩酊初期よりも小脳へ麻痺が広がっている状態です。
4. 酔いの状態:繰り返し同じことを話すようになる・周囲への迷惑を考えず、大胆な行動をとる・立つとふらつき、まともに歩くことができない状態(千鳥足)・吐き気をもよおし、嘔吐をすることがある・呼吸が早くなるなど

【泥酔期】
1. 血中アルコール濃度:0.31%から0.40%
2. アルコール呼気中濃度:1.55%から2.00%
3. 脳への影響:記憶の中枢と呼ばれる海馬の麻痺が始まり、言動や現在の状況を判断することができず、記憶することができない「ブラックアウト」状態になります。
4. 酔いの状態:まともに立っていられない・意識がはっきりしない・言語が支離滅裂になる・ろれつが回らない・記憶がふっとぶなど

【昏睡期】
1. 血中アルコール濃度:0.41%から0.50%
2. アルコール呼気中濃度:2.05%から2.50%
3. 脳への影響:脳全体へ麻痺が広がり、呼吸中枢の延髄にも麻痺が及び、危険な状態です。稀に死に至るケースもあります。
4. 酔いの状態:揺さぶっても起きない・大小便が垂れ流し状態となる・呼吸が深くて遅い・呼吸が止まっているなど

一般的に心が晴れ晴れとし、朗らかな気分になるときは、快楽の刺激が得られた瞬間に脳の腹側被蓋屋にある神経線維「ニューロン」が興奮し、軸索を伝わって、即座核にある末端部分から神経伝達物質のドーパミンが放出されます。すると、側坐核にあるニューロンがドーパミンの影響によって快楽を感じるのですが、過剰に放出されているときは抑制ニューロンが働き、ドーパミンの放出を抑えます。

しかし、アルコールを摂取することで、抑制ニューロンからカリウムが放出されると抑制機能が停止し、即座核からドーパミンが過剰に放出されることになるため、日本酒などのアルコール飲料を摂取すると快楽を通常よりも強く感じるのです。

お酒を楽しむ飲むためには、爽快期からほろ酔い期までとなっており、お酒の適量は個人差もあるため、はっきりした量をご紹介することが出来かねてしまいますが、日本酒ならば1合から2合までを目安に飲用するのが大人のたしなみとなっています。

しかし、同じ酒蔵で醸造されている同じ銘柄の日本酒であっても含有されているアルコール量が異なるため、厚生労働省が行っている国民健康づくり運動「健康21」には、1日平均純アルコールにしておよそ20gが節度ある適度な飲酒として定めています。

今回はアルコールが身体に与える影響のうち「血中アルコール別の症状」についてご説明させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。

日本酒の飲み方を学ぶ前に、血中アルコール濃度によってどのような症状が現れるのかという知識を身に着けることで、楽しいお酒を飲むことができるようになります。
是非、今後お酒を嗜む際は、血中アルコール濃度のことを考えながら、健康と美容に配慮しつつ節度あるお酒を嗜むように心掛けましょう。

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