お酒の強い人と弱い人の違い

お酒を全く飲めない方を「下戸(げこ)」、そこそこお酒を飲むことができる方を「中戸(ちゅうこ)」、お酒をたくさん飲める方を「上戸(じょうご)」もしくは「酒豪(しゅごう)」と呼びびますが、なぜお酒には人によって強い人と弱い人がいるのでしょうか。

日本酒などのアルコール飲料を摂取すると、まず胃や小腸で吸収されます。そして、血液と共に全身へ運ばれ、肝臓へとやってきます。肝臓へと運ばれたアルコールは、ADHとMEOSの2つの酵素の働きによって有害物質のアセトアルデヒドに分解された後、ALDH2という酵素によって無毒の酢酸へと変化します。

ADHとALDH2には様々な型があり、酵素の働きが活発で強い方・酵素の働きは活発だが弱い方・酵素の活性が全くない方がいらっしゃいます。
そのため、下戸・中戸・上戸(酒豪)と個人差が生じるのです。

では、ADHとALDHの型について詳しくご説明したいと思います。

ADHとALDHについて

アルコールを分解するために必要不可欠な酵素「ADH」と「ALDH」の型についてご説明させて頂きます。

ADHとは、アルコールを分解するための酵素であり、3種類の方が存在し、一方のALDは、有害物質であるアセトアルデヒドを分解するための酵素であり、2種類存在します。

ADH 働き:アルコールを分解する
酵素名 内容
ADH1 個人差は無い。
ADH2 個人差がある。
特に日本人を含む東アジア系の人種で差異が見られる。
ADH3 個人差がある。
日本人では特に差異が見られにくいが、白人と黒人系の人種で差異が見られることが多い。

ALDH 働き:アセトアルデヒドを分解する
酵素名 内容
ALDH1 個人差は無い。
ALDH2 個人差がある。

個人差があるADH2・ADH3・ALDH2は血液型と同じく、両親からの遺伝となっており、それぞれ1つずつ遺伝子情報を引き継ぎます。

ADH2の遺伝

日本人に差異が発生しやすいADH2は以下のように両親から引き継ぐことになっています。

父(母) 母(父) アルコールの分解能力
ADH2+ ADH+ アセトアルデヒドに分解するまでに要する時間が10%から20%ほど早い。
ADH2+ ADH2- アセトアルデヒドに分解するまでに要する時間が5%ほど早い。
ADH2- ADH2- 基準。

※アルコール及びアセトアルデヒドの分解能力の強い遺伝子を「+」、低い遺伝子を「-」で表しています。

人種関係なく個人差が生じるALDH2は、両親からどのように遺伝するのでしょうか。

【ALDH2の遺伝】
父(母) 母(父) アセトアルデヒドの分解能力
ALDH2+ ALDH2+ 基準の20倍から30倍
ALDH2+ ALDH2- 基準の4倍から6倍
ALDH2- ALDH2- 基準

※アルコール及びアセトアルデヒドの分解能力の強い遺伝子を「+」、低い遺伝子を「-」で表しています。

お酒に強い方はアセトアルデヒドの代謝能力の高い活性型、お酒に弱い方は代謝能力の低い低活性型、酵素の活性が見られない方を非活性型と呼び、生まれてから後に身に備わることはありません。

現在日本人の40%ほどが低活性型であり、10%ほどが非活性型だと言われています。
よく日本人は欧米人と比べてお酒に弱いと言われる理由はこういうことだったのです。
ちなみに、非活性型は黄色人種(モンゴロイド)のみに見られる特徴であり、白人(コーカソイド)や黒人(ネグロイド)には低活性型や非活性型は存在しないと言われています。

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