お月見にオススメ藤岡酒造株式会社「蒼空」

江戸時代の俳人・松尾芭蕉が江左尚白 (えさしょうはく)との両吟歌仙の發句である「名月や 座に美しき 顔もなし」は、芭蕉秀句中の秀句として有名な作品です。

「初蝉」の風国編に「翁義仲寺にいませし時に「名月や 児立ち並ぶ 堂の緑 芭蕉」とありけど、此の句意に満たずおて、「名月や 海に向かへば 七小町 芭蕉」と吟じて、是も尚あらためんとて、「名月や 座に美しき 顔もなし 芭蕉」といふに、其の夜の句は決まりぬ。これにて翁の風雅にやせられし事を知り手、風雅をはげまん人の教へなるべしと、今爰 (いまここに)出だしぬ」とあります。

「初蝉」の編者の記録には「月見する 座にうつくしき 顔もなし」はありませんが、この句があったからこそ、このような素晴らしい句が誕生したのではないかと言われています。

古来日本人は、「雪月花」や「花鳥風月」といった四季折々の好い眺めや天地自然の美麗な景色を大切にしてきました。
特に夜空に浮かぶ美しく神秘的なお月様は「不死と復活のシンボル」として祀られ、信仰の対象でした。

現在でも旧暦の8月15日と9月13日には、薄や秋の七草を飾り、15個のお月見団子を三方へ並べ、旬の農作物と共にお月様へお供えするお月見が行われています。

そこで、今回は1年で最も美しいと言われる中秋の名月を眺めながら嗜みたい絶品の日本酒をご紹介したいと思います。

なめらかで優しい味わいが楽しめるこだわりの手作り純米酒「蒼空 (そうくう)」

京都府伏見区にある1902年創業の老舗蔵元「藤岡酒造株式会社」は、初代藤岡栄太郎によって京都府京都市東山区にて酒造業が始まり、その後滋賀県大津市に製造場の増設を行い、明治43年に伏見の地に製造場を設け、大正7年に現在の地で製造が本格的に行われるようになったと言われています。

藤岡酒造は、創業当時醸造石数が1200石あまりだったのですが、最盛期には、なんと8000石を越えるお酒を製造しており、「万長」という銘柄を中心に地元の方々をはじめ、大勢の清酒ファンに長く愛されてきました。

しかし、平成6年9月に3代目藤岡義文が急死してしまったことによって、平成7年に藤岡酒造の歴史は1度幕を閉じたのですが、「もう1度お酒を造りたい」という強い想いを持った5代目蔵元・藤岡正章氏が各地の酒蔵で日本酒に関する勉強を行い、大勢の人々の協力によって、遂に平成14年に新しく酒蔵を建築し、蔵元自らが杜氏となり、藤岡酒造の再生に成功したのです。

復活を果たした藤岡酒造で醸したお酒は、わずか28石だったのですが、新しく作った日本酒は全て手造りの純米酒であり、そのお酒に「蒼空」と名付け、晴れ渡った美しい青空のような爽やかで優しいテイストの日本酒となっています。

蒼空は、全てお米・米麹・水だけで仕込んでいるので、お米本来の甘みや旨味をしっかり感じることができる日本酒となっており、和洋折衷どのようなお料理とも相性が良い食中酒です。
1つ1つ丹精込めて醸される蒼空は、純米酒から純米大吟醸酒まで全て同じタンク・同じ手のかけ方で製造されておりますので、全てに目が行き届くこだわりのお酒が誕生するのです。

蒼空のこだわりは、酒質だけではありません。
ラベルは、紙ではなく、藍染め後に「蒼空」という箔押しを行った布を使用しており、瓶から剥がしてお猪口のコースターになるように工夫されていたり、冷蔵庫のポケットにすっぽり入るように500mlの瓶にお酒が詰められています。
また、水の都として有名なイタリア・ヴェネツィアのガラス工房で作られた美術品のような美しい瓶を採用しており、無濾過の手造り純米酒のライムグリーンが無色透明なガラス瓶によく映えます。

お月見は、静かにお酒を飲みたいという方もいらっしゃいますが、夫婦や恋人と共に秋の澄んだ空気のなか、美しく照るお月様を眺めながら頂くお酒も良いですが、上品に薫る吟醸香と口当たりの良い絶妙なバランスの味わいを持つ純米大吟醸やお米のオリが僅かに絡んだにごり酒のような純米生を杯に注ぎ、酒に映るお月様を眺めながらの月見酒もオススメです。

今回はお月見にオススメの日本酒をご紹介させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。
現代の日本人は、空を見上げて月や星を眺める機会が減っていると言います。
たまには、顔を上げて、ココロとカラダをリフレッシュしてみてはいかがでしょうか。

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