常温にオススメの日本酒

日本酒を温めたり、冷やしたりせず、平常な温度の状態で嗜むことを「冷や」もしくは「冷や酒」と呼びます。
「『冷や』って、冷酒のことでしょ?」と思われる方も多いかと思いますが、「冷や」が冷酒を指すようになったのは近代のことで、それ以前は恒温で保管されていた日本酒を冷や酒と呼んでいたのです。

なぜ冷や酒が常温の日本酒を指すのかと言いますと、現在ではどの家庭にも1台は必ずあると言われる冷蔵庫が昔には無く、気軽に冷たい日本酒を飲むことが出来なかったため、温めた日本酒を「燗酒」、常温で保管していた冷たい日本酒を「冷や酒」と呼んでいたのです。

現在では、日本酒初心者の方々にも分かりやすいよう、冷や酒を常温と呼び、冷たい日本酒を冷酒と表現している料理店もございます。
ですが、日本酒に関する深い知識を持つ方々の間では、現在も常温の日本酒は「冷や酒」、冷蔵庫で冷やした日本酒を「冷酒」と呼ばれておりますので、これから日本酒に関する勉強を始めようと思っている方は覚えておくと良いでしょう。

さて、常温に関する日本酒の豆知識をご紹介したところで、今回は常温(冷や)で飲むとおいしいオススメの日本酒をご紹介してゆきたいと思います。

常温にして飲むとおいしいオススメの日本酒

【越乃寒梅 白ラベル】

石本酒造にて販売されている「越乃寒梅 白ラベル」は、青竹やアケビのような香りがふわりと薫ったかと思うと、桜餅や梅ゼリーのような爽やかで優しい香りが感じられる日本酒です。
越乃寒梅 白ラベルは、酸味・甘み・旨味の調和が非常に良く、しっとりとした舌触りなのに、軽やかで静かな味わいが特徴です。
白ラベルは「晩酌に合う日本酒」をテーマに造られており、料理に寄り添うことができ、翌日に残らず、いつまでも飽きずに飲み続けることができるお酒となっています。
普通酒ではありますが、低温で長い時間をかけてじっくり発酵させる吟醸造りの技術を取り入れて醸しているので、日本酒ファンの間でも飲みごたえのあるお酒として定評があります。また、越乃寒梅 白ラベルは、日本酒ファンの間では、力強く後味が跳ねるような感覚があることから別名「尻ピンの酒」と呼ばれています。
冷酒にしてしまうと重くなってしまうため、常温(冷や酒)として嗜むのが通の嗜み方となっています。わさびの合うお料理と共にいかがでしょうか。

【純米吟醸 八海山】

八海醸造にて販売されている「純米吟醸 八海山」は、白桃やマンゴスチンなどのようなフレッシュで甘い香りがしたかと思うと、ケヤキやサクラ材のような落ち着きのある爽やかな香りが感じられる日本酒です。
しつこくなくアッサリとした軽快な味わいを持つ純米吟醸 八海山ですが、濃密でまとわりつくような味わいも感じられるため、1度飲んだら忘れられないお酒と呼ばれています。
また、純米吟醸 八海山は日本酒特有の粘りも感じることができる数少ないお酒でもあるため、これから日本酒を飲み始めようとお考えの方は1度嗜んでおくことをオススメします。
お米の旨味を最大限引き出し、穏やかな喉越と落ち着きのある静かな余韻が感じられる上品な日本酒は、冬日和の澄み渡った空気の中で柔らかな日差しによって解け始める雪のようです。
13℃から18℃の常温(冷や酒)で嗜むと純米吟醸 八海山の良さを最大限引き出すことができますので、大切な方とお酒を酌み交わしたいときにいかがでしょうか。

【龍力 生?山田錦 特別純米酒】

本田商店にて醸造されている「龍力 生?山田錦 特別純米酒」は、地形を生かして「酒米の最高峰」と称される山田錦をたっぷり使用して造られています。
龍力 生?山田錦 特別純米酒に使用されているお米は、地元の兵庫県特A地区で生産されている山田錦を100%用いており、日本古来より伝わる生?仕込みを用いて丁寧に醸した至極の1品です。
特A地区で生産されている山田錦と巧みの技を融合させた龍力 生?山田錦 特別純米酒は、山田錦の上質で濃醇な旨味と堅固な酸味が受け止めてくれます。熟成具合も良く、しっかりとしたボディもありますので、常温から熱燗まで幅広い温度で嗜むことができます。

20℃前後の日本酒を常温または冷や酒と言い、柔らかくおだやかな香りとソフトな味わいを感じることができるため、初めて嗜む日本酒は、まず常温で味わい、視覚や嗅覚などの五感を使って、どのような特徴を持つお酒なのかを確認するのがオススメです。
ですので、これから日本酒を始めようとお考えの方は、テイスティング用の利き猪口やグラスを1つずつ用意し、清酒の色調や香り、味わいを確認してから、薫酒・爽酒・醇酒・熟酒に合った酒器を購入すると良いでしょう。

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