ギリシャの七夕伝説|七夕の歴史や由来

神話の国として知られるギリシャは、西洋哲学や歴史学などの学問をはじめ、演劇や彫刻といった文化や民主主義の基礎を築き上げた国として知られています。
ギリシャの人々は底抜けに明るく、見知らぬ人々にも笑顔を向けて気軽に話しかけてくれます。
そんな彼らを見ていると、こちらも幸せな気持ちになり、彼らのような人生を謳歌する生き方をしたいという方々もいらっしゃいます。

そんなギリシャには、七夕伝説に登場する“織女星”こと「琴座のベガ」にまつわる胸がギュッと締め付けられるような悲しい物語があります。

では、ギリシャに伝わる七夕伝説をご紹介しましょう。

ギリシャの七夕伝説「オルフィスとエウリディケ」

遥か昔、ギリシャには、たて琴はがとても上手な“オルフェイス”という青年がいました。
彼の奏でるたて琴の音は、あまりにも美しく、人々はもちろんのこと、森にすむ動物たちや木々たちも時を忘れて聴き入ってしまうほどでした。

そんなある日のこと、オルフェイスがいつものように川のほとりでたて琴を弾いていると、その音色に合わせてとても美しい少女が踊っていました。
その少女はニンフ (妖精)であり、名を「エウリディケ」と言いました。
オルフェイスとエルリディケの2人は、すぐに恋に落ち、やがて結婚し、仲良く暮らしていました。

しかし、そんな2人に悲劇が起こってしまいます。

ある日、エウリディケが川岸を散策していた際、誤って草に隠れていた毒蛇を踏んでしまったのです。
驚いた毒蛇はエウリディケに噛みつき、彼女は毒に侵されて亡くなってしまいました。

最愛の妻を亡くしたオルフェイスは、毎日泣きながら暮らしていたのですが、どうしてもエウリディケのことを諦めきれず、「あの世へ行き、プルトーンにエウリディケの生き返らせてもらおう」と考えたのです。

オルフェイスは、急いであの世へと続く険しい地下の道を進み、三途の川へと辿り着いたのです。
しかし、川の番人から「お前を川の向こう側へ渡すことはできない」と断られてしまいました。

困ったオルフェイスは、たて琴を取り出し、妻を亡くした悲しみの音色を奏でたのです。
すると門番は、彼の音色に心を打たれ、黙って彼を舟に乗せ、対岸へと渡らせたのです。

その後も、オルフェイスの行く手を阻む門番たちが現れたのですが、彼のたて琴の音色を聴くと、黙って通してくれたのでした。

延々と続く長く暗い地下の道を抜けたオルフェイスは、ようやくプルトーンの御座す場所まで辿り着いたのです。

オルフェイスは、プルトーンの前で心を込めて悲しみの音色を奏でながら、妻・エウリディケを蘇らせてほしいと懇願したのです。
しかし、プルトーンは「それだけは出来ない」と断るばかりで、彼の願いを聞き入れてはくれませんでした。

すると、プルトーンの妻がオルフェイスの奏でるあまりにも悲しい音色に涙をながしながら「どうか、オルフェイスの願いをお聞きください」と言いました。

プルトーンは、しばらく考えた末、「1度だけ許そう。ただし、地上に出るまで、決して妻の方を振り返ってはならぬ」と言い、エウリディケをオルフェイスの元に返したのです。

オルフェイスは2人に感謝をし、もう二度と妻の手を離すまいと、ギュッと握りしめたのです。
そして、険しい坂道を上がってゆき、現世の懐かしい光が差し込むところまで来たとき、オルフェイスはあまりの嬉しさにプルトーンとの約束を忘れ、思わず後ろを振り返ってしまったのです。
その瞬間、エウリディケは物凄い力で元の道に吸い込まれてゆき、一瞬で姿が見えなくなってしまいました。

オルフェイスは急いで彼女の後を追ったのですが、妻の姿は何処にもありません。
彼は再び三途の川の入り口へと戻り、川の門番にもう1度乗せてもらいたいとたて琴を取り出して音色を奏でたのですが、今度ばかりは門番も通してはくれません。

1人現世へと戻ったオルフェイスは、悲しみのあまり野山を彷徨い、歩いていたところ、酒に酔ったトラキアの女たちに「たて琴を弾け」と言われたのですが、それを断ってしまったために、八つ裂きにされて殺されてしまいました。

そして、オルフェイスの首とたて琴は、死してなお悲しい音色を奏でながら川を下ってゆき、やがて音楽の女神・ムサイに拾われたオルフェイスの遺体は、リベトラの森に葬られ、大神・ゼウスはオルフェイスの琴を拾い上げ、星空へと上げ、琴座としたのです。

ゼウスによって空へ上げられたオルフェイスのたて琴は、今も静かな夜になると、妻を想う悲しい音色が星空のかなたから聞こえてくると言われています。

今回はギリシャに伝わる七夕伝説をご紹介させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。
とても悲しく切ない物語だったのではないでしょうか。
ギリシャに伝わる神話には、もうひとつ「Milky way」という物語があり、こちらは天の川に関する物語となっています。気になった方は、オルフェイスの物語と共にミルキーウェイも読んでみてはいかがでしょうか。

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