日本酒濾過による味わいと香りの違い

滓引きの後、目に見えないほど微細な滓を取り除くために行われるのが「濾過」です。
最も一般的な濾過方法は、活性炭素を入れた濾過器のフィルターを通すものですが、活性炭素の種類や量は各酒蔵によって異なります。
その理由は、活性炭素によってせっかくの日本酒の色や香りが滓と共に取り除かれてしまうからです。
そのため、一部の蔵では活性炭素を使用せず、濾過器のフィルターを通すだけの素濾過を行う場合もあります。

しかし、中には「無濾過」と表記されている日本酒も出荷されており、どのような違いがあるのか気になりますよね。

では、濾過と無濾過の日本酒の香りと味わいの違いをご説明したいと思います。

濾過による日本酒の香りや味わいの違い

濾過

滓引きを完了した日本酒を活性炭素入りの濾過器に入れ、フィルターに通すと、細やかな滓が取り除かれ、香り・水色・味わいの調和が取られ、爽快ですっきりとした淡麗タイプの日本酒となります。

無濾過

無濾過とは、濾過の反対で細やかな滓を取り除かない日本酒となります。
ですが、近年では活性炭素を入れていない濾過器のフィルターを通して素濾過を行ったお酒のことを「無濾過」とし、素濾過も行わずにそのままの状態で出荷されるお酒を「完全無濾過」と呼び、区別しています。
無濾過の日本酒は、お酒に含有されている香りや味わいに関する成分が濾過作業による影響を受けないので、濃厚で芳醇な味わいを維持したまま出荷されます。

濾過と無濾過ではどのような違いが現れるのかを実際に長野県にある信州銘醸の「明峰 喜久盛」を例にご説明します。

明峰 喜久盛 純米酒

長野県産のひとごこちを100%使用し、精米歩合59%まで磨き上げた濾過仕上げのお酒です。
こちらのお酒はバナナのような濃厚で甘い香りと濃厚な味わいが特徴です。
無濾過のものと比較すると落ち着いた果実の香りとなっており、全体的にまとまった味わいとなっています。また、お米の旨味がしっかり感じられるので、バランスの良いお酒といえます。

明峰 喜久盛 純米むろか酒

搾りたての味わいが愉しめる無濾過の「明峰 喜久盛」は、冬季限定の瓶詰清酒です。
濾過のものと比較すると、清新で華やかな香りが漂う上品なお酒です。
味わいも濾過とは異なり、飲み口は濃厚なお米の旨味がたっぷり感じられるのですが、後に若々しい麹の渋みがやってくるので、お酒好きの方ならば1度は飲んでおきたい清酒です。
複数の味が混ざり合いながらも絶妙なバランスで飲み手をワクワクさせてくれる純米酒らしいコクを持ったお酒です。

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