30℃前後に温めた日本酒を「日向燗(ひなたかん)」と言います。
日向燗といえば、朝日テレビで現在放送中の大人気テレビドラマ「相棒」内にて水谷豊さん演じる杉下右京が、吟醸酒を日向燗で注文するシーンは印象に残っている方も多いのではないでしょうか。
日向燗はヒトの体温よりも低い30℃前後の燗酒ですので、口に含んでも温かいと感じにくいのが特徴です。ですが、日向燗にすることで日本酒の香りが立ち、なめらかで飲みやすいお酒へと変貌するので初めて燗酒を嗜む方にはオススメかもしれませんね。
では、日向燗にオススメの日本酒をご紹介します。
日向燗にオススメの日本酒と酒器
【若戎 参年熟成 燗 純米】
三重県で生産されている「酒米の王様」こと山田錦を100%使用し、3年間じっくりと寝かせた完熟純米酒は、他の純米酒と比べて穏やかでふっくらとした風味が楽しめる清酒となっています。
特に30℃から50℃に温めて嗜むのがオススメで、ほんのりと温かくなってきた初夏の夜には日向燗を、寒さが厳しくなってくる晩秋は熱燗でクイッと1杯嗜むのがオススメです。
熟成した日本酒を味わったことがないという方は、「若戎 参年熟成 燗 純米」を味わってみてはいかがでしょうか。
【八重垣 純米ひやおろし】
「現代の名工」と称される杜氏の田中博和氏が醸すお酒「八重垣 純米ひやおろし」は、ヤヱガキ酒造より秋限定で販売されている日本酒です。
蒸し暑い夏が過ぎ、鈴虫や蟋蟀などがコロコロと鳴き始め、暑さが和らぐ秋になると、そろそろ燗酒が飲みたくなってくる時期ではないでしょうか。
特に寒さの厳しい時期に醸した日本酒をひと夏熟成させ、秋口になりほどよく熟成されたひやおろしは日本酒を嗜む習慣が無い方でも心を躍らせる逸品です。
八重垣 純米ひやおろしは、口触りが穏やかでハッキリとした芳醇な味わいが特徴で、奥深いコクとこってりとした旨味、そして長く続く気持ちの良い余韻は1度味わったらクセになります。日向燗で飲むのがオススメですが、冷や(常温)または人肌燗にしてもおいしく召し上がることが可能です。
【福小町 大吟醸】
木村酒造から発売されている「福小町 大吟醸」は、日本一の酒米と呼ばれる山田錦を40%まで精米し、上品で華やかな吟醸香が薫る日本酒です。
福小町 大吟醸は、その優れた香味で数々の受賞歴を誇っており、木村酒造の看板清酒となっています。
福小町 大吟醸の魅力は、口に含んだ瞬間に味わえる鮮烈な印象で、華やかさを持ちながら、鋭く鮮明なキレ味が冴えわたるお酒なので、何度飲んでも飲み飽きません。
また、精米歩合40%にまで磨き上げられているので非常に透明感が高く、大切な人とお酒を酌み交わしたいときに最適です。
大吟醸酒ですので、冷酒として吟醸香を堪能することができるのですが、寒い時期は吟醸香を極力損なわないようにしながら日向燗にして嗜むのもオススメです。
今回は日向燗にオススメの日本酒をご紹介させて頂きましたが、いかがでしたか。
日向燗は飲んでも温かさや冷たさを感じないため、ちょっぴり中途半端な印象があるかもしれませんが、大吟醸酒や吟醸酒といった香り高い日本酒を温めて飲みたいときに最適かもしれませんね。
大吟醸酒や吟醸酒には、ワイングラスのような香りが中に籠るような形状の酒器や口が上に広がっているラッパ型の酒器がオススメです。
純米酒や生?系の日本酒の場合、口径よりも下の部分が膨らんでおり、片口や焼き物など素材や形状にこだわった渋い酒器や和を感じさせる酒器がオススメです。
もしも、今愛飲している日本酒がおありでしたら、1度日向燗にし、冷や(常温)との違いを楽しんでみてはいかがでしょうか。