東北地方秋田県の酒造好適米

東北地方の酒造好適米をご紹介【秋田県】

秋田県は山形県や新潟県と同じく冬になると対馬暖流の影響によって日本海側から冷たくて湿った空気が流れてきます。そのため、毎年冬になると深々と降る雪やみぞれが連日のように降り続くため、県内の9割以上の地域は特別豪雪地帯に指定されています。
秋田県は日本国内で冬季の日照時間が最も少ない都道府県として知られており、朝晩の放射冷却現象が起こりにくく、朝の気温がやや高いため日較差が少ないのが特徴です。

秋田県といえば、新潟県や北海道に次ぐ米処として有名な県であり、日本酒の生産量はなんと全国6位となっています。そんな秋田県で生産されているオリジナル酒造好適米を今回ご紹介したいと思います。

秋田県オリジナルの酒造好適米をご紹介

秋田県では、秋田酒こまち・秋の精・吟の精・美山錦・改良信交・華吹雪・星あかり・美郷錦の8種類存在します。定番の美山錦を除く7品種の特徴をご紹介したいと思います。

秋田酒こまち

秋田酒こまちは、1992年に秋田県農業試験場にて誕生した秋田県オリジナル酒造好適米です。秋系酒251号と秋系酒306号の交配種であり、2000年にF8より「秋田酒77号」の系統名を授かりました。その4年後、秋田酒77号から秋田酒こまちへと改名し、現在に至ります。秋田酒こまちは秋田県で最も生産量の高い美山錦と比べ、稈長が短くて耐倒性に優れているのが特徴です。また、生産量は美山錦と同量であり、米粒のサイズは美山錦よりも大きく、粗タンパク質の含有量が低くなっています。心白は山田錦並みで、酒母及び醪に溶けやすく、濃厚でふくらみのある日本酒を造ることが出来ます。

そんな秋田酒こまちを100%使用した日本酒を飲みたいという方は、阿櫻酒造の「純米原酒 阿櫻」がオススメです。秋田県オリジナルの酒造好適米である秋田酒こまちを60%まで磨き上げた純米酒は、お米の旨味をダイレクトに感じることが出来る清酒です。上槽後、加水を一切行わず、原酒の状態で出荷するので、重厚感のある深いコクが特徴の日本酒となっています。

吟の精

秋田県の酒米奨励品種であった美山錦ですが、吟醸酒などの高級酒の醸造には不適切だったため、秋田県では吟醸酒などの高級酒を醸造する際は山田錦を使用していました。
昭和63年に酒税法が改正されたのを機に秋田県オリジナルの吟醸酒専用の酒造好適米の開発を始めました。そうして誕生したのが吟の精です。
吟の精は合川1合と秋系53号の交配種であり、平成2年にF7から「秋田酒50号」という系統名を授かりました。その2年後、秋田県の奨励品種に採用され、翌年に品種名を現在の「吟の精」へと改名したのです。心白が少なく、粗タンパク質含有量が多めだが、精米歩合が高いと無効精米が非常に少なくなり、50%の精米特性では美山錦に勝ります。浸漬工程の際にお米が割れにくいため、原材料の処理を行いやすい品種と言えます。

吟の精を100%味わいたいという方は、日の丸醸造株式会社の「まんさくの花限定 純米吟醸生詰原酒 吟の精」がオススメです。搾り立てのフレッシュさと心地良い微炭酸の清酒ですので、女性でも安心して飲酒することが出来ます。また、火入れをしているにも関わらず、この微炭酸を味わえるというのが何とも魅力的です。

秋の精

1986年に秋田県農業試験場にて誕生した「秋の精」は、豊錦と美山錦の交配種です。
2000年に品種登録が行われ、現在では秋田県の地酒の代表的存在として、吟の精や秋田酒こまちと共に多くの人々から愛されています。

秋の精を100%味わいたい方は、日の丸醸造の「うまからまんさく 爽々酒 特別純米生原酒」がオススメです。この日本酒は旨味と辛みのバランスが絶妙で、絞ったばかりのフレッシュ感に加え、しゅわしゅわと心地良い微炭酸と旨辛な風味がうだるような暑さの夏にピッタリな一杯といえます。

星あかり

星あかりは、東北電力株式会社の研究開発センターにて誕生した東北地方オリジナル酒造好適米です。東京電力では、東北地方の風土に適した酒米を開発することを目的として1988年から1996年のおよそ8年をかけて完成させました。
現在では東北地方に存在する蔵元で星あかりを使用した醸造を行っており、秋田県内でも1999年に那波商店から「夢に酔う」、2001年に日の丸醸造から「星の舞」が販売されており、2002年には浅舞酒造から「氷晶(ダイヤモンドダスト)」が販売されました。
星あかりは耐倒性に強いのですが、稲熱病になりやすいので、農家の方は栽培する際は気を遣うそうです。

星あかり100%使用した日本酒を飲みたい方は、浅舞酒造の「純米吟醸 うすにごり 天の戸・氷晶〈ダイヤモンドダスト〉」がオススメです。癖の無い素直な酒米の星あかりで醸造された氷晶は、搾り立ての槽口の新鮮なうすにごりのまま瓶詰を行っているため、星あかりの素直な味わいを堪能出来ます。また、甘口ですので、女性の方にもオススメです。

美郷錦

「酒米の王」と呼ばれる山田錦は日本各地の蔵元で高級日本酒を醸造するために用いられているのですが、極晩生型のため生産量が追い付いていないのが現状です。さらに秋田県の風土では栽培が非常に困難なため、山田錦に匹敵する高品質な酒米を誕生させるのを目的に山田錦と美山錦を交配させ、1987年に秋田県農業試験場にて誕生したのが「美郷錦」です。生産量は美山錦よりも劣りますが、米粒のサイズが大きくて粗タンパク質が少ないのが特徴です。心白は美山錦よりもはっきり現れるので吟醸酒専用酒米として高い評価を得ています。

酒造好適米の2トップである山田錦と美山錦のサラブレットである美郷錦を100%使用した日本酒を飲みたいという方は、酒田酒造株式会社の「上喜元 大吟醸 美郷錦 槽だれ」がオススメです。美郷錦は秋田県オリジナルの酒米にも関わらず、かなりマイナーな酒造好適米ですので、ご存知無い方も多く、その魅力があまり伝わっていないのが少々残念です。そんな美郷錦を100%使用した「上喜元 大吟醸 美郷錦 槽だれ」は、美郷錦を40%まで磨き上げ、ふくよかな香りを持つ大吟醸となっています。フルーティーかつ円やかな味わいにも関わらず、どっしりとした飲みごたえのある日本酒となっておりますので、この機会に1度挑戦してみてはいかがでしょうか。

秋田県で生産されている酒米をご紹介させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。
今回は女性でも比較的飲みやすい清酒もご紹介しておりますので、是非日本酒を嗜んでみてはいかがでしょうか。

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