北陸地方富山県石川県福井県の酒造好適米

北陸地方の酒造好適米のご紹介

富山県・石川県・福井県そして新潟県の4県からなる北陸地方は、本州の中央部に存在する中部地方のうち、日本海側に面している地域です。稀に、新潟県を含まない富山県・石川県・福井県の3県を表す場合もあります。
今回は、新潟県を含まない北陸3県で生産されている酒造好適米の品種の種類や特徴をご紹介したいと思います。

北陸地方の風土と酒米

北陸地方の風土について

雪国として知られる北陸地方では、冬季になるとシベリア付近で発生する乾燥した寒気団が三国山脈や越後山脈、飛騨山脈などにぶつかるため、冬は豪雪となり、春は大量の雪解け水が流れるため、コシヒカリなどの稲作が盛んに行われています。そのため、日本有数の米処として知られており、数多くの酒蔵が存在するのがこの地方の特徴です。

北陸3県で生産されている酒造好適米

新潟県を除く、北陸3県で現在生産されている主な酒造好適米は以下の通りです。

富山県
雄山錦・五百万石・富の香・美山錦・山田錦(合計5品種)

石川県
五百万石・石川門・北陸12号・山田錦(合計4品種)

福井県
五百万石・おくほまれ・越の雫・神力・山田錦(合計5品種)

山田錦や五百万石、美山錦は酒造好適米の中でもトップクラスの酒米ですので、皆さんもご存知かと思います。
山田錦は日本国内で生産されている酒造好適米のおよそ9割を占める生産量を誇っており、酒処として有名な兵庫県を中心に栽培されています。五百万石は米処として有名な新潟県を中心に栽培が行われており、この2大酒米に続くかたちで美山錦がランクインしています。

今回はメジャーな酒造好適米ではなく、富山県の雄山錦や富の香や石川県の石川門に北陸12号、そして福井県のおくほまれや越の雫、神力をご紹介したいと思います。

雄山錦

雄山錦(おやまにしき)とは、別名「富山酒45号」と言い、富山県農業技術センターの農業試験場にて誕生した生粋の富山生まれの酒造好適米です。平成12年度から富山県から正式に水稲奨励品種として認可されました。
雄山錦は、ひだほまれと秋田酒33号の交配によって誕生した新しい品種であり、開発までになんと14年以上も費やしたそうです。
雄山錦は富山県産の酒米と富山の名水を用いて富山ブランドの日本酒を造りたいという願いから誕生した酒造好適米です。雄山錦の特徴は、五百万石よりも天候の影響を受けにくく、心白も大きいことです。また、醸造工程において、抜群の吸収力と麹菌の繁殖力を有しており、さらに精米歩合を上げても粉砕することがないため、大吟醸酒や吟醸酒の醸造に適しています。

富山県産の雄山錦100%を嗜みたいという方は、玉泉堂酒造で醸造されている「醸泉 酒無垢 純米吟醸 生原酒」がオススメです。養老山脈の伏流水を使用しているため淡麗でありながらも深いコクが味わえる日本酒となっています。「醸泉 酒無垢 純米吟醸 生原酒」に使用されている酒米は富山県の南砺産の雄山錦であり、冬季限定の日本酒です。華やかさとフレッシュさを兼ね揃えており、一切のアルコール及び水の添加を行っていないため、雄山錦本来の香りや味わいを堪能出来ます。

富の香

富の香とは、別名「富山酒69号」と呼ばれており、雄山錦同様、富山県農業技術センターにて誕生した富山県オリジナルの酒造好適米です。
高級酒専用の酒米として知られる「山田錦」と富山の誇る酒米「雄山錦」を交配させて誕生した品種であり、平成8年から生育を開始しています。
富の香の特徴は、山田錦に近い品質を持っており、成熟期は晩生型で米粒のサイズが大きくて心白がはっきりと現れやすいことです。生産量は新潟県産の五百万石や雄山錦に若干劣るものの、山田錦よりは多く収穫出来るのが魅力的です。
富の香は富山県の気候に合った稲となっているため、現在では山田錦よりも富の香を栽培する農家も多いそうです。

富山県産の富の香100%使用した日本酒を嗜みたいという方は、富山県が誇る老舗酒造の「吉乃友酒造」で醸造されている「純米吟醸生原酒 富の香」がオススメです。この日本酒は、魚津リンゴの花酵母を使用しているため、フルーティーで華美な香りが漂う優しくてなめらかな味わいを持っています。
また、林酒造場の「黒部峡 純米吟醸 富の香(黒ラベル)」も適度な熟成感を有しており、重過ぎないバランスの取れた日本酒となっています。喉越しが非常に良いので、食中酒に最適です。

石川門

加賀と能登の2国を管轄する石川県オリジナル酒造好適米「石川門」は、石川県オリジナルの日本酒を造りたいという願いから誕生した酒米です。
農家の方や石川県の酒造メーカー、そして農業研究者たちの知恵と技術を結集して誕生した石川門は、心白が非常に大きくて吟醸造りに適した優良品種です。
平成20年には石川門を使用して日本酒を醸造してくれる酒造メーカーは6社でしたが、平成21年にはなんと14社の酒造メーカーで使用されるなど石川門の認知度が徐々に浸透しつつあります。
石川門の特徴は、滋味な味わいを持っていることです。石川県の大自然で育った酒米だからこそ日本酒の豊かで深い味わいを引き出すことが出来るのでしょう。

石川県産の石川門100%使用した日本酒を嗜みたい方は、吉田酒造の「純米吟醸 石川門 生原酒 手取川」がお勧めです。この日本酒に使用される石川門は遅植え遅刈り取りで生産されているため、他の石川門に比べて高品質となっています。麹米50%と掛米55%の石川門を使用しているため、リンゴのような瑞々しくて爽やかな香りとほんのりとした甘みを持つ日本酒となっています。

北陸12号

北陸12号とは、1926年に新潟県農事試験場上越試験地で誕生した酒造好適米です。現存する酒造好適米の中で最も古い品種であり、今では新潟県魚沼市にある「緑川酒造」と石川県白山市にある「小堀酒造店」でしかこの酒米を使用していません。

石川県で栽培された北陸12号を100%使用した日本酒を嗜みたいという方は、小堀酒造店の「萬歳楽 甚 純米」がオススメです。生産量が極僅かな北陸12号を生産している農家の方と共に育て上げた稀少な酒米から造られる日本酒は、優しくて柔らかい口当たりと爽快感のあるスッキリした喉ごしが印象的です。また、飲み終わった後に感じるぽってりとした旨味が癖になります。

おくほまれ

おくほまれとは、兵系酒18号とレイメイの交配品種であり、福井県で誕生した酒造好適米です。おくほまれを100%使用した日本酒は玉乃光酒造株式会社の「純米吟醸 超特選おくほまれ」やキンシ正宗の「特別純米 ききょう」が挙げられますが、現在取り扱いがあるか否かは各醸造元へ確認を取ると良いでしょう。

越の雫

昭和58年にJAテラル越後の指導販売部・部長の木瀬護夫氏は、農業経営の将来をしっかりと見定めるため、五百万石に続く酒造好適米を誕生させ、奥越前オリジナルの新たな酒米の開発を開始します。しかし、思うように新たな品種の酒米が完成せず、ようやく20年という長い歳月を経て「越の雫」が生まれたのです。
越の雫は、兵庫北錦と美山錦の交配種で、五百万石のような芯の強さや山田錦のような優美できめ細やかな性質とは異なり、瑞々しくてなめらかであり、尚且つ優しさを持った酒造好適米となったのです。
越の雫の特徴は、五百万石よりもタンパク質の含有量が低いため、精米歩合が高くても安定した酒造りが行えることです。

福井県産の越の雫100%の日本酒を嗜みたいという方は、三宅彦右衛門酒造の「早瀬浦 吟撰 純米吟醸 越の雫」がオススメです。味わいは、軽快な飲み口にも関わらず、どっしりとしたお米本来の旨味が感じられ、さらにやや辛口にも関わらず、越の雫の持ち味である優しい味わいが堪能できる日本酒となっています。

神力

神力と呼ばれる酒造好適米は、「幻の酒米」と呼ばれており、明治時代の終わりから昭和のの初めにかけて非常に人気の高かった酒米です。神力は酒米3大品種の1つに挙げられるほど優秀な酒米にも関わらず、いつしか山田錦や美山錦といった種類の酒造好適米に押され、1度は淘汰されたものの、たった5gほどの神力の種子から現代の優れた技術と先人たちの知識によって復活し、再び脚光を浴びるようになったのです。

神力100%使用した日本酒を嗜みたいという方は、広島県呉市にある「株式会社 三宅本店」の「千福 神力 純米原酒六十五」富久娘酒造株式会社の「純米 力」がオススメです。どちらも北陸地方ではありませんが、広島県安芸高田市高宮町の酒米農家の方々と三宅本店によって復活を果たした酒米のため、西日本を中心に醸造が行われています。
三宅本店が醸造及び販売を行っている神力米を使用した日本酒は2007年から行われており、原酒ならではの呑みごたえのある濃厚な味わいと甘酸っぱい穏やかな香りで多くの日本酒ファンを唸らせています。

北陸地方で生産されている酒造好適米の種類や品種及び特徴をご紹介致しましたが、いかがでしたでしょうか。次回は山の幸と海の幸が豊富に獲れる東北地方で生産されている酒造好適米をご紹介したいと思います。

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