信越地方の酒造好適米をご紹介【長野県】
信州地方は新潟県と長野県の2県で構成されています。
新潟県は日本屈指の蔵元数を誇る日本酒大国であり、米処でもあります。そのため数々の酒造好適米が生産及び開発されています。
一方、長野県も新潟県に次ぐ地酒大国であり、日本酒造りに最適な風土を有しています。
そんな長野県では以下の酒造好適米が生産されています。
長野県
ひとごこち・美山錦・たかね錦・しらかば錦・金紋錦(合計5種類)
ひとごこちは長野県オリジナルの酒造好適米ですが、以前関東地方でご紹介させて頂いたので、割愛させて頂きます。また、美山錦も山田錦や五百万石同様非常にメジャーな酒米ですので、ご紹介を控えさせて頂きます。
今回は長野県オリジナルの酒造好適米「しらかば錦」と「金紋錦」をご紹介します。
長野県の酒米2種
しらかば錦
しらかば錦の正式名称は「白樺錦」と言い、1973年に長野県農事試験場にて育成が始まった酒造好適米です。
「しらかば錦」は、別名「信放酒4号」と呼ばれており、乾燥したレイメイの種子に放射線の1種であるγ線の照射を行ったことによって突然変異を起こさせ、完成した系統育種です。白樺錦は長野県の標高800m付近で栽培するのを目的として誕生した種類です。
長野県の白樺錦100%使用した日本酒を嗜みたいという方は、高沢酒造の「豊賀 しらかば錦59% 特別純米 長野C酵母 中取り無濾過生原酒」がオススメです。
長野県は地域によって淡麗な清酒と濃醇な清酒など様々な日本酒が醸造されています。そんな長野県にある高沢酒造で造られた白樺錦100%使用したこの日本酒は、新酒独特のフレッシュさと爽やかさを兼ね揃えており、ジューシーなフルーツのような甘酸っぱい味わいが楽しめます。麹の力によって白樺錦の旨味が最大限引き出されており、飲み終わるとそのキレの良さと余韻で「もう1杯」とついついグラスが進んでしまう清酒となっています。甘口寄りにも関わらず、フルボディな印象を与えてくれるので、日本酒ファンには堪らない一品です。
金紋錦
「幻の酒米」として知られる長野県オリジナルの酒造好適米「金紋錦」は、高嶺錦と山田錦の交配品種です。
なぜ、金紋錦が幻の酒米と呼ばれているのかと言いますと、長野県の北部にある木島平村のみでしか栽培することが出来ず、生産量が極めて少ないからです。これは、木島平村のJA及び農家の方々が「金紋錦を村外には出さずに村の特産にする」と定めているからです。
これには理由があり、以前は金紋錦も日本全土の酒蔵で使用されていたのですが、栽培が非常に難しく、金紋錦が誕生した昭和31年の技術では精米を行うのが難儀だったため、扱いやすい美山錦やひとごこちなど扱いやすく米質の良い酒米を使用するようになり、金紋錦は徐々に歴史の影へと消えて行ったのです。そして、今では長野県にある木島平村のみで栽培が行われており、この酒米を使用している酒蔵も石川県にある1軒の酒蔵のみとなっています。
金紋錦の特徴は、複雑に入り組んだ香りと旨味です。この複雑さは世界最高級と称されるお酒全てに共通する特徴であり、風格を感じさせる味わいの条件の1つとなっています。そのため、金紋錦を一口含むと口内に複雑な味わいが広まり、次の瞬間ギュッとまとまるため、初めて金紋錦を飲んだ方は不思議な感覚に陥ります。
長野県産の金紋錦を100%使用した日本酒を堪能してみたいという方は、田中酒造店の「水尾 純米大吟醸」がオススメです。長野県木島平村産の金紋錦を100%使用し、39%まで磨き上げた純米大吟醸は、金紋錦の複雑な味わいを最大限引き出すことに成功した逸品です。深みと膨らみ、そして幅のある香りと味わいが堪能できる日本酒はなかなか存在しません。飽きのこない良質な味わいを持つこの清酒は贈り物などに最適です。
信越地方の1つである長野県オリジナルの酒造好適米をご紹介させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。長野県には魅力的な日本酒が豊富に存在します。是非、この機会に長野県にある蔵元の日本酒を味わってみてはいかがでしょうか。