信越地方新潟県の酒造好適米②

信越地方の酒造好適米をご紹介【新潟県】

新潟県は非常に日本酒造りに適した風土のため、国内屈指の酒造大国として有名です。そんな新潟県では、オリジナルの酒造好適米も数多く存在し、地酒の醸造に力を入れています。
今回は、以前ご紹介出来なかった「菊水・八反錦2号・たかね錦」の3種類の特徴をご紹介したいと思います。

信越地方新潟県の酒米3種

菊水

菊水とは、1937年に愛知にある農業試験場で誕生した酒造好適米です。
菊水は雄町を片親に持つ交配品種であり、選抜を重ね、遂に完成した酒米です。親である雄町は耐倒性が低かったが、菊水は雄町よりも20cmも短いため耐倒性に優れた品種でした。さらに雄町の良さをしっかり引き継いでいるため、菊水の誕生は瞬く間に日本各地に広まったのです。中でも米処の新潟県は菊水に非常に興味を持ち、菊水と新200号を交配させて五百万石が誕生したのです。しかし、菊水は害虫に弱いという特性があるため、これを克服するために新しい品種「白菊」が開発され、1945年には菊水の栽培が行われなくなりました。しかし、新潟県下の農家の方々の手によっておよそ50年の時を超えて遂に新潟の地で復活を果たしたのです。

1度は廃ってしまった菊水を新潟の地で復活させた菊水酒造株式会社で醸造されている「純米大吟醸 菊水」は新潟県産の菊水を100%使用した清酒です。たった25種籾から前向きな農家の方々など数多くの人々に支えられ完成した日本酒は、深みのある柔らかな味わいと香り高い清酒独特の香りが印象的な辛口純米大吟醸です。菊水の良さを最大限引き出しており、華やかな香りとやや淡麗な日本酒は冷やして飲むと格別です。

高嶺錦

たかね錦は、正式名称を「高嶺錦」と言い、昭和14年に長野県にある農事試験場で誕生した酒造好適米です。北陸12号と東北25号(現在農林17号)の交配品種であり、新潟県では吟醸酒の醸造を行う際に、たいへん重宝されていた酒造好適米の1つです。
高嶺錦の「たかね」とは、標高の高い地域での栽培が最も適していたことからこの名が付けられ、「錦」は酒米であることの表現するために付けられました。現在では、高嶺錦の出身地である長野県やお隣の新潟県、京都府や兵庫県なのでも生産されています。

新潟県産の高嶺錦を100%使用した日本酒を飲んでみたいという方は、諸橋酒造の「越乃景虎 名水源流 大吟醸」がオススメです。越乃景虎は、硬度0.47という国内でも稀な超軟水と新潟県で吟醸酒を醸造する際には欠かせない県内産の高嶺錦を100%使用した地酒です。発酵することが出来るギリギリのラインで醸造される日本酒は、雑味の要因となるタンパク質などの成分を最小限に抑えているため、穏やかで静まりのある香りと口の中に広がる高嶺錦の味わい、そして、さらりと喉を通過する鋭いキレ味は1度飲んだら癖になります。美しい大吟醸と呼ばれる「越乃景虎 名水源流 大吟醸」は一生に1度は味わってほしい清酒です。

【番外編】白藤

江戸時代の終わりに東北地方で誕生したと言われる「白藤」は、昭和の初め頃まで新潟県の酒米として栽培が行われていました。白藤は亀ノ尾と対を成すものとして人気があったのですが、1930年なると、その姿は見られなくなり、絶滅したのではないかと囁かれていました。しかし、2004年におよそ800粒残されていた白藤の種籾を前向きな農家の方々の手によって復活を果たし、2007年には日本酒を醸すのに必要な生産量を収穫することが出来たのです。今後、復活を果たした白藤を使用した日本酒が続々と現れるかと思いますので、日本酒ファンの方は乞うご期待です!

八反錦2号

広島県にある農業試験場にて誕生した八反錦2号は、八反35号とアキツホの交配品種です。1983年に広島県から奨励品種として採用され、翌年の1984年には品種登録が行われています。八反錦2号ですので、もちろん八反錦1号も存在します。しかし、八反錦2号は八反錦1号よりも400m高い標高で栽培することを目的として開発された種類ですので、新潟県などでも栽培が行われています。
八反錦2号は心白が大きいため、酒造適性が高いのですが、とても繊細なお米ですので扱うのが難しい酒米でもあります。

そんな八反錦2号を新潟県で栽培し、20年以上醸造を行っている頚城酒造では料理との相性が抜群な日本酒造りを目指しており、中でも新潟県上越市柿崎地区で生産されている八反錦2号を100%使用した「越路乃紅梅 無濾過純米吟醸生原酒」はオススメです。精米歩合55%の八反錦2号を使用しているため、ぽってりとした味わいを持ちながらもキリッとした後味が印象的な日本酒は、まさに新潟県ならではの清酒と言えます。山田錦にも負けない香りと味わいを持っているので、是非1度嗜んでみてはいかがでしょうか。

新潟県で生産されている酒造好適米3種類ご紹介させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。次回は信州地方の2つめ「長野県」で生産されている酒米をご紹介します。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする