東海地方愛知県岐阜県静岡県の酒造好適米

東海地方の酒造好適米をご紹介

東海地方は、愛知県を中心に静岡県や岐阜県、三重県の一部を表している総称です。
律令制下の地方行政区画の五畿七道の東海道から東海地方と呼ばれており、愛知県・岐阜県三重県・静岡県の4県を表す場合と静岡県を除く愛知県・岐阜県・三重県の3県を表す場合があります。

東海地方といえば、日本を代表する工業地帯として有名ですが、東海地方は古くから日本酒造りが盛んに行われている地域でもあり、愛知県の酒造りは現存する日本最古の歴史書3巻の「古事記」や六国史の1つ「日本書紀」と共に、尾張の地で伝説上の英雄ヤマトタケルノミコトがミヤスズヒメに出会い、大御酒盞(おおさかずき)が捧げられるシーンが描かれています。
このことから既に熱田の地では日本酒造りが行われていたことが明らかにされたのです。現在でも尾張酒見神社や三河酒見神社では千年以上前の日本酒造りの古記録が残っています。もちろん愛知県だけではなく、岐阜県や静岡県、三重県も古くから日本酒造りが行われており、現在でも先人たちの技術や知恵を生かして地酒造りが行われています。

東海地方でも日本酒造りに使用する酒米の独自開発が行われており、そのお米を使用した地酒はたいへん人気があります。
では、いったいどのような酒造好適米が存在するのでしょうか?

愛知県
夢水山・若水・夢吟香(合計3種類)

岐阜県
五百万石・ひだほまれ(合計2種類)

静岡県
五百万石・誉富士・山田錦・若水(合計4種類)

三重県
伊勢錦・神の穂・五百万石・山田錦・弓形穂(合計5種類)

やはり東海地方でも新潟県オリジナル酒造好適米の五百万石や兵庫県のオリジナル酒造好適米の山田錦の生産は行われており、人気の高さが窺えます。

では、東海地方オリジナルの酒造好適米はいったいどのような特徴を持っているのでしょうか?

東海地方の酒米3種

夢吟香

夢吟香は、2010年に愛知県にある農業総合試験場が平地用に適した酒米を作るべく、あいち産業科学技術総合センター・食品工業技術センターと手を取り合い、長い歳月をかけて誕生させた新しい愛知県のオリジナル酒造好適米水稲うるち品種です。
山田錦と若水(育酒1764)の交配で誕生した品種であり、1983年に誕生した愛知県オリジナル酒米の若水よりも心白が小さく、外観の品質が良いのが特徴です。醸造適性は山田錦と同じく非常に優れており、若水に山田錦の良さをプラスさせたお米と言えます。

夢吟香を100%味わいたいという方は、澤田酒造の「白老 夢吟香 純米吟醸」がオススメです。愛知県の南西部にある常滑市で生産されている夢吟香を精米歩合55%まで磨き上げ、醸造を行っているため、優しくて穏やかな清新な香りが漂い、ちょっぴり辛口の日本酒に仕上がっています。また、愛知県内では夢吟香を使用した日本酒を9社の酒造メーカーから製造及び販売が行われていますので、各社飲み比べてみるのも一興ではないでしょうか。

ひだほまれ

ひだほまれは、1972年に開発され、現在岐阜県の北部・飛州を中心に数多くの酒造メーカーから使用されている岐阜県オリジナル酒造好適米です。ひだほまれは、ひだみのりの耐冷性と心白発現率の低さを克服した品種であり、ひだみのりとフクノハナの交配品種にフクニシキを交配させた酒米です。ひだほまれは、主に岐阜県内の高山地域で生産されており、優れた酒造適性を持っているのですが、栽培に手間暇がかかることや生産量の低さから「農家泣かせの酒米」と呼ばれています。しかし、2015年現在ではひだほまれが唯一の岐阜県オリジナルの酒造好適米ですので、岐阜県の美味しい地酒を作るために農家の方々と酒造メーカーが手を取り合い、日夜熱情的に生産を行っています。

ひだほまれを100%使用した日本酒を是非嗜んでみたいという方は、蒲酒造の「白真弓 純米大吟醸 誉」がオススメです。大粒で吟醸及び大吟醸造りに適した酒米なのですが、酒米の王と称される山田錦のように高精白を行うことは出来ませんが、高精白でなくても柔らかく豊かな香りとふっくらとした味わいが感じられる日本酒となっています。
精米歩合は40%と高く、北アルプスの山々から溢れ出てくる清らかで冷たい伏流水を用いて醸造しているため、瑞々しく果実のような華やかさと優しい香りが感じられ、フルーツののようなフレッシュさを持つまろらかでふっくらとした味わいが絶妙なハーモニーを奏でます。やや辛口で淡麗タイプの日本酒ですので、冷たく冷やして召し上がると美味しいかと思います。

誉富士

静岡県初のオリジナル酒造好適米である誉富士は、平成10年に酒米の王と称される山田錦に放射線処理を施して人為的に変異させた新しい品種です。育成年は2006年頃から始まり、山田錦よりも米粒のサイズはほぼ同じでありながら、酒造りに必要な心白が山田錦よりも多いため高精白も行えるようになりました。また、山田錦よりも生産量が高く、短稈なため耐倒性に優れており、さらにタンパク質の含有量が低いため、酒造適性は山田錦よりも高く、なにより心白の形状が美しいことが特徴です。

静岡県初の酒造好適米の誉富士を100%味わいたいという方は、花の舞酒造の「花の舞 誉富士 純米酒」がオススメです。山田錦の良さを生かし、静岡県らしいスッキリとした爽快感のある日本酒に仕上がっており、香りと味わいのバランスが絶妙です。
富士誉を使用して醸造が行われた日本酒は山中酒造の「誉富士 特別純米 葵天下」土井酒造場の「花の香 開運」千寿酒造の「誉富士 純米吟醸 千寿」など静岡県内の酒造メーカーから製造及び販売が行われておりますので、飲み比べてご自身に合った誉富士の日本酒を見つけてみてはいかがでしょうか。

今回は東海地方愛知県・岐阜県・静岡県の3県で生産されている酒造好適米をご紹介させて頂きました。次回、近畿地方の東部に位置する三重県で生産されている酒造好適米をご紹介したいと思います。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする