中国地方の酒造好適米【鳥取県&岡山県&山口県】
今回は中国地方に属している鳥取県・岡山県・山口県の3県で生産されているオリジナルの酒造好適米をご紹介したいと思います。
鳥取県は日本酒造りに重要なお米や水、そして自然環境の3つが整っている日本酒造りに最適な県ですが、杜氏や蔵子の人為不足に陥っており、ここ10年ほど他県と比べて養成が遅れていると言われており、現在優秀な人材を育成しております。
岡山県は、日本酒造りに非常に適した数少ない県として知られています。岡山県の地酒は現存する最古の歌集「万葉集」に「吉備の酒」という名で登場しており、さらに「歌林捨葉集」には「吉備の豊酒」として登場しています。しかし、現在岡山県では酒造場が年々減少傾向にあります。
山口県では、現在山口県酒造組合ならびに山口県酒造協同組合では山口県の日本酒造りに関する様々な取り組みが行われており、山口県の地酒の普及に取り組んでいます。山口県といえば、桜の花から分離した酵母を使用した日本酒も人気が高く、酒井酒造の「花ならつぼみ」や堀江酒場の「黒まいん」岩崎酒造の「さくら・さくら」などが人気を集めています。
それぞれの県で日本酒に関する悩みや取り組みがあり、今後どのような展開が行われるのかに注目が集まっています。
そんな3県にも各県オリジナルの酒造好適米が生産されており、そのお米を使用した地酒は高く評価されています。では、いったいどういった酒造好適米が生産されているのでしょうか。
鳥取県
強力・五百万石・玉栄・山田錦(合計4種類)
岡山県
雄町・山田錦(合計2種類)
山口県
西都の雫・白鶴錦・山田錦・五百万石(合計4種類)
以前岡山県のオリジナル酒造好適米「雄町」をご紹介しておりますので、今回は鳥取県の強力と山口県の西都の雫についてご説明したいと思います。
中国地方の酒米二種
強力
鳥取県のオリジナル酒造好適米の強力は、穂先までの長さがなんと150cmもある長稈品種の1つです。大正時代に鳥取県内で発見され、以降酒米として積極的に生産されるようになりました。しかし、150cmという丈の長さから栽培が非常に難しく、終戦後にはぱたりと姿を消してしまいました。その後、日本酒造りの技術が飛躍的に向上し、数々の高級酒や酒造好適米も誕生し日本酒は国内だけではなく、世界からも注目を集めるお酒となったのです。そんなある日、鳥取県の東伯郡に住む渡邉信平氏が21種類のお米の中から抜粋し、誕生した強力という名の酒米の存在を知った1人の酒造家が興味を持ち、多くの人々の協力もあって遂に十数年ぶりに復活を果たしたのです。強力はその後、純系分離が行われ、強力1号や強力2号といった品種が誕生しています。
強力を100%使用した日本酒が飲んでみたいという方は、山根酒造場の「さく羅(強力純米大吟醸しずく)」がオススメです。強力は粒が大きいが心白の発現率がやや弱く、熟成することで旨味が現れるという特徴を持っています。そんな強力を2年間低温熟成し、まるで洞窟の中に放り込まれたかのような深いコクが感じられる日本酒となっています。酒質は濃醇な辛口タイプとなっており、年間数百本限定で販売されています。この機会に是非1度味わってみてはいかがでしょうか。
西都の雫
皆さんは山口県のオリジナル酒造好適米「穀良都」という品種をご存知ですか。在来種である都という飯用一般米を山口県の山口氏に住む伊藤音一氏が選抜を行い、誕生した種類です。この酒米は昭和天皇が即位した際に献上されたお米であり、非常に有名な酒米です。しかし、耐倒伏性が低かったため、いつしか生産されなくなり、1度は歴史の影へと消えてしまった過去があります。
そんな穀良都と西海222号(山田錦)の交配によって誕生した西都の雫は、穀良都の耐倒伏性を克服した優良品種として山口県内で積極的に生産されています。山田錦と穀良都の良い部分をしっかり受け継いでおり、高精白が可能な酒米と言われています。
西都の雫を100%使用した日本酒を購入したいという方は、村重酒造の「むらしげ 純米吟醸 西都の雫」がオススメです。自然豊かな地で醸される「むらしげ 純米吟醸 西都の雫」は香りと味わいの調和の取れたバランスが素晴らしく、西都の雫の良さを最大限生かした清酒となっています。後味の爽快感とキレの良さは食中酒に最適です。また、コストパフォーマンスも良いので、お財布にも優しい日本酒と言えます。
いかがでしたか?
今回で中国地方のオリジナル酒造好適間についての紹介が終わりますが、中国地方の日本酒について興味を持って頂ければ幸いです。
これから日本酒が美味しくなる季節がやってきます。是非、1度中国地方の日本酒を購入してみてはいかがでしょうか。