関西地方の酒造好適米【兵庫県 その2】
関西地方で数多くの酒造好適米を開発及び生産している兵庫県では、20種類もの酒米の生産が行われています。そこで、まだまだご紹介しきれていない兵庫県のオリジナル酒造好適米をご紹介したいと思います。
兵庫県の酒米4種
白鶴錦
白鶴錦は、酒米の王様と称される山田錦の母である山田穂(新山田穂1号)と渡舟2号の交配によって誕生した品種です。白鶴錦が誕生するまでには様々なドラマがありました。
白鶴錦の生みの親である白鶴酒造は、山田錦に勝る優秀な酒米を生み出すために酒米の育種に着手するのですが、まずは、優秀な酒造好適米の山田錦の母である山田穂の復活に乗り出したのです。そのためにはまず、1度消えてしまった山田穂を復活させる必要があり、日本各地の農業組合や研究機関を回り、ようやく一握りの山田穂を手に入れることが出来たのです。そして、3年の歳月をかけて復活を果たした山田穂を70年ぶりに交配させ、およそ8年の歳月をかけてようやく誕生したのが白鶴錦です。
誕生した白鶴錦は山田錦にも負けない素晴らしい酒米として現在では白鶴酒造のブランドを支える柱の1つとして人気を集めています。
白鶴錦を100％味わいたいという方は、2007年に白鶴酒造が醸造及び販売を開始した「超特撰 白鶴 純米大吟醸 白鶴錦」がオススメです。山田錦の兄弟酒米として話題となった白鶴錦を100％使用した日本酒はモンドセレクション6年連続最高金賞を受賞した日本酒です。清々しく爽やかで華やかな香りとふくらみのある豊かな味わいを堪能することが出来る清酒です。白鶴錦は山田錦よりも心白が大きくてタンパク質の含有量が同量もしくは低いため深い味わいを感じることが出来ます。
白菊
菊水と巴新力の交配種である白菊は、昭和19年に愛知県農業試場にて誕生した酒造好適米です。短稈で耐倒性が高かったため、非常に栽培しやすい品種として人気を集めていたのですが、心白の発現率の低さや稲熱病にかかりやすいといったデメリットもあったため、いつしか栽培が行われなくなってしまいました。しかし、2007年に愛知県にある関谷酒造によって、兵庫県で見事復活を果たし、岡山県の白菊酒造も愛知県農業試験場から譲り受けた白菊の籾殻を手に、独自の手法で見事栽培に成功したのです。
白菊を100％使用した日本酒を味わいたいという方は、酒米と同じ名を持つ白菊酒造の「大典白菊 純米おりがらみ 白菊米 生酒」がオススメです。白菊独特のコクと旨味をそのまま日本酒の味にしてしまったかのような味わいを持っており、滓を絡ませることによってさらに柔和で穏和なお酒となります。そのため、お酒が苦手な方でもどんどん呑めてしまう不思議なお酒として老若男女問わず人気があります。
但馬強力
但馬強力は「たじまごうりき」と読みます。但馬強力は鳥取県の酒造好適米である強力が純正淘汰され誕生した品種であり、1928年に兵庫県で奨励品種として登録されました。しかし、続々と優秀な酒造好適米が誕生したことによって但馬強力の生産量が徐々に減少し、1935年頃に生産が終了しています。それが、60年の歳月を経て、再び丹後の地で復活を果たしたのです。但馬強力は心白の出現率が高くライン状の心白のため、高精白にも耐えられ、尚且つ、タンパク質の含有量が低いため、雑味の少ない質の良い日本酒が醸造することが出来るのが特徴です。
但馬強力を100％使用した日本酒を飲んでみたいという方は、西山酒造場の「小鼓 純米大吟醸 路上有花 黒牡丹」がオススメです。ベルのような素敵なデザインボトルは芸術家の無?庵・綿貫宏介氏がデザインしており、女性への贈り物や大切な方へのプレゼントとして人気があります。
肉料理との相性が抜群のため、年末年始に家族や親戚が集まる際や友人や恋人と焼肉パーティーなどを行う際に最適です。日本酒通の方も唸らせることが出来るインパクトとどっしりとしたボディが特徴ですので、是非この機会に味わってみてはいかがでしょうか。
野条穂
野条穂は1917年に兵庫県加西郡野条にて蓬莱重吉氏が在来種の奈良穂から純系抜粋し、誕生した酒造好適米です。野条穂はかつて、酒米の王と称される山田錦に並ぶ優良酒米として注目を集めていました。しかし、長稈のため耐倒性が低く、栽培が難しかったため、昭和40年頃に栽培がストップしました。しかし、ここ10年の間に野条穂の生産量が密かに行われており、2009年には太陽酒造から野条穂を使用した日本酒が醸造及び販売され、注目を集めました。
野条穂を100％使用した日本酒を味わってみたいという方は、太陽酒造の「神稲(くましね) 野条穂 純米吟醸 無濾過生原酒」がオススメです。かつて山田錦と共に2大品種として称された野条穂をたっぷり使用した日本酒ですので、いったいどのような香りや味わいがあるのか気になりますよね！野条穂を使用した日本酒は他の日本酒では感じることが出来ない独特の深い味わいと旨味を有しており、山田錦に負けず劣らずの素晴らしい味わいを持つ日本酒となっています。そのため、1度飲んだ裸忘れられないため、高確率でリピーターになると言われています。
今回は引き続き兵庫県の酒造好適米をご紹介させて頂きました。
兵庫県が如何に日本酒造りに適した風土を有しているのかがお分かり頂けたかと思います。
まだまだ兵庫県では様々な酒造好適米が存在しますので、是非最後までお付き合い頂けたら幸いです。